阪神小野寺暖外野手(25)が足で、バットでリードオフマンの役割を果たした。不動の1番近本が3日に右脇腹に死球を受け「打撲」で戦線離脱している中、プロ通算97試合目で、初めて1番中堅でスタメン起用された。初回、左腕小笠原の低めチェンジアップを中前打とし、いきなり1番打者の仕事を遂行。「うしろにいい打者がいるので、まずはチャンスメークを考えていた」と初回から意識したのは「つなぎ」だ。

塁上でも目をギラつかせた。中野の犠打で二塁進塁。3番森下の打球が三遊間を抜けるとスイッチオン。三塁ベースを蹴ると、腕を回す三塁コーチャーの藤本内野守備走塁コーチを見てさらに加速した。中日左翼大島からの返球が少し一塁側へそれると、迷わずホームにヘッドスライディング。「大事な1点が取れて良かった」と貴重な先制点をもぎ取った。

前日5日には森下が1番に起用され、こちらも初回に安打を放ち先制点につなげていた。打線を引っ張ってきた選手会長がいなくても、代役1番が連日の躍動。「明後日、1番替えるだけでいい」と、8日広島戦から1番近本の復帰を見据え、1番小野寺を起用した岡田監督も、うれしい誤算に違いない。

チームにとって近本の不在は痛手でも、小野寺にとってはチャンスだ。今季は31試合の出場にとどまるが、打率は3割4分6厘。5回には右前打を放ち、今季4度目となる1試合複数安打を記録した。「まだまだしがみつく立場ですし、明日からもしっかり練習したい」。背番号60のがむしゃらさが、虎に活力を与えた。

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