“攻めの一手”は失敗に終わった。

日本ハムはトリックプレーに失敗し、先制機を逃した。4回2死二、三塁。二走が飛び出したと見せかけ捕手の送球を誘った上で、三走が本塁を狙う作戦だったが、相手捕手がボールをこぼしたことで計算が狂った。三走の清宮幸太郎内野手(24)が三本間で挟まれ、あえなくアウトに。チームは5位浮上に失敗。条件次第で9日にも7季連続のV逸が決まる。

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投手戦を見越して仕掛けた“攻めの一手”は、空振りに終わってしまった。日本ハム新庄監督は「今日の平良君と上沢君のピッチングを見ていたら、1-0の試合を予想。なかなか打てないと思ったから、こっちから仕掛けようと思って」。ベンチが動いたのは4回だ。2死二、三塁の先制機。打席には、西武戦で好打率を残していた奈良間がいた。1ボールの直後、二走のマルティネスが飛び出し、つまずく“演技”で捕手の二塁送球を誘い、その間に三走の清宮が本塁を陥れる…はずだった。

「グワチョ(マルティネス)が出過ぎかなっていうところはありますね」とミスがなかったわけではないが、想定外のプレーが指揮官の計算を大きく狂わせた。ボールを握り損ねた相手捕手は、すぐに二塁へ送球せず。スタートが遅れた清宮は、三本間で挟まれアウトになってしまった。「それ(捕手のファンブル)は計算にないわ。1回(ボールを)落としたら、もう清宮君は走れないですね、あそこは」と悔しがった新庄監督は「1点取っていれば上沢君のギアが上がって、1-0の計算で行けた」。結局、西武の平良からは15イニング連続で無得点。前回対戦した8月25日に続き、攻略できなかった。

チームは3連敗で、5位浮上に失敗。西武投手陣の前に、今季15度目の完封負けを喫した。7季連続でのV逸は、もう目の前だ。9日の試合に勝って、首位オリックスが敗れた場合のみ、優勝の可能性が残る。【中島宙恵】

○…1番右翼でスタメン出場の万波は2打数無安打3四球に終わり、待望の21号は次戦以降にお預けとなった。新庄監督が、本塁打王のタイトルを取らせるために3日オリックス戦から1番で起用。「めったにないからね。3本差というのは。珍しくないですか? 23本がトップって。チャンスはある。だから1番で打席に立たせたら、あと20試合で5、6打席ぐらいは変わってくれたらね」と期待した。

○…先発上沢が6回0/3を6失点(自責5)でノックアウトされた。5回まで1安打無失点と好投も6回2死、西武外崎に左越えソロを浴び先制点を献上。7回無死から2者連続四球で無死一、二塁のピンチを招き3連打を浴び、この回5失点した。8月25日の前回対戦も6、7回に失点。「前回は球種の選択を間違えた。今回は7回から突然フォームがおかしくなってしまった」と反省した。

▽日本ハム建山投手コーチ(上沢について)「完投とかもありましたし。そういう疲れも出てきたのかなと。序盤からそんなに球速は出ていなかった」