首位独走の阪神が巨人に連勝し、2位広島が敗れたため、優勝へのマジックナンバーは1となった。9月に入って負けなしの10連勝で貯金は35、2位とは13ゲーム差となった。王手をかけた阪神は最短で14日に18年ぶりの優勝が決まる。

前回優勝した05年も甲子園での巨人戦で王手をかけ、藤川球児が“前夜祭”で「涙の準備はできています。みなさんよろしいでしょうか」とファンに呼びかけた。阪神は翌日に優勝を決めた。

 

◆前回の「優勝王手」

 

05年9月28日巨人戦(甲子園)7-5

 

初回に巨人・高橋尚成の出はなをくじき、赤星憲広、鳥谷敬、シーツ、金本知憲、今岡真の5連打などで打者11人で6点を先制。巨人の追い上げを2点差で振り切り、中日が敗れたため「M1」となった。

ヒーローインタビューで「今の状態を好きな将棋にたとえると?」と聞かれた今岡は「王手!」と名回答。「最高の気持ちで今、野球をやってます。優勝は甲子園で勝って決めます」とファンに予告した。

「JFK」の藤川は8回に登板し、これが当時のプロ野球シーズン最多登板記録並ぶ78試合目。打者3人で片付け、抑えの久保田につないだ。こちらはお立ち台で「涙の準備はできています。みなさんよろしいでしょうか」と呼びかけた。

試合後、岡田監督は「途中経過を気にしとったけど、やっと中日も負けたな」と笑わせ、「これで相手関係なしにいける。勝てばエエんや。みんなそういう気持ちでいてる。甲子園でできるのはラストチャンスかもしれんけど、今日みたいに自分たちの野球をしていい形で勝って終わりたいな」と語った。

翌29日も巨人に勝ち、2年ぶり5度目のリーグ優勝。岡田監督が宙に舞った。

 

◆2リーグ制後の阪神V王手

 

◆62年 9月30日に首位阪神が国鉄とのダブルヘッダーに連勝、2位大洋が巨人とのダブルヘッダーに連敗。29日時点で残り試合(阪神3、大洋6)の関係から大洋がM6の状態だったが、逆転で阪神にM1。阪神は10月1、2日と試合がなく、最終戦の3日広島戦(甲子園)に勝ち優勝。

 

◆64年 優勝を争っていた大洋がすでに全日程を終了。残り3試合の阪神は9月29日国鉄戦でバッキーが完投勝利を挙げ首位に立ち、優勝へあと1勝。翌30日の中日とのダブルヘッダー第1試合(甲子園)で12-3と勝ち優勝を決めた。

 

◆85年 10月14日、2位広島との直接対決にバース、岡田の本塁打で7-3と逆転勝ち。マジックを3から1に減らし王手。15日は阪神、広島とも試合がなく、16日ヤクルト戦(神宮)で延長10回、5-5の引き分けで優勝した。

 

◆03年 9月11日ヤクルト戦(神宮)に引き分けてM2。12日中日戦(ナゴヤドーム)は負けたが、翌13日にマジック対象チームのヤクルト、広島の試合があるため王手がかかった。15日のデーゲームで広島に勝ち、約2時間後にヤクルトが横浜に負け、星野監督が宙に舞った。