広島末包昇大外野手(27)の決勝弾で、2位フィニッシュに大きく近づいた。同点の8回。阪神加治屋の初球スライダーに体勢を崩されながらも、持ち前のパワーで左翼席まで運んだ。「ここ数試合チームとしてなかなかタイムリーが出なくて苦しかったんですけど、流れを変えたいなと思っていましたし、それがこういう結果になって良かった」。6試合連続先発起用に、期待されている長打で応えた。

23日巨人戦の2打席連発から2試合連続無安打が続き、前日も3打席目まで無安打だった。本拠地2打席目の登場曲変更に、末包の苦悩がこめられる。「つかみかけた~♪」。昭和の名曲アリスの「チャンピオン」への変曲は新井監督の提案がきっかけ。登場曲だけでなく、指揮官からの考え方の転換が本塁打につながった。

この日の早出特打中に「インコース真っすぐをきれいに打てた後は感覚が知らず知らずのうちに、また打ってやろうと開きの方向に入るので、気を付けて」とアドバイスされた。打撃を崩した一因は23日巨人戦の7回に内角球を左翼席に運んだ1発にあった。「自分の中でおかしいなと思った部分があった」と体の開きを意識したことでスライダーを捉えることができた。

復調の1発で新井監督にシーズン74勝目をプレゼントした。球団新人監督としては86年阿南監督、89年山本監督の73勝を抜いて最多勝利となった。新井監督は「本当にいいアピールを続けてくれている」と目を細める。左腕を多く擁すDeNA、阪神と戦うCSに向けて右の大砲の存在感が増している。【前原淳】

▼広島が74勝目。新人監督の最多勝利は02年伊原監督(西武)と15年工藤監督(ソフトバンク)の90勝があるが、広島では86年阿南監督、89年山本監督の73勝を抜き、新井監督が最多となった。

◆広島2位決定の条件 1日に広島が○または△なら無条件。広島●でも、DeNA△または●で決まる。

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