同じコンディションを春、夏、秋と続けるのは難しいことだ。西武平沼翔太内野手(26)も今季、それをあらためて実感した。

5月14日の楽天戦(ベルーナドーム)は、楽天滝中にノーヒットノーランを喫するペースだった。9回1死から代打で登場した平沼が、ライト前安打で見事に阻止した。振り返る。

「滝中さんから打ったライト前ではまった感じがあったので。これでいけるなっていう気持ちも多少あったんです」

次の試合も2番三塁でスタメン出場し、6打数3安打。感触通り、少しずつ安打が増え、次のハイライトは6月3日DeNA戦(横浜)だ。話題のバウアーから右翼席へ放り込んだ。

バウアーの印象などは「代打なのでなんとも言えないですけど」としつつ「あそこらへんの期間が、自分の中では」と確かな手応えを感じていた。ところが7月以降、シーズン閉幕までヒットは8本のみ。打席も多くはなかった。

「打撃の状態が落ちてきて、そこから上げきれなかった部分はあるんで、来年の課題かなと思います」

出場、67試合。「悔しい1年だったと思います。自分の中ではまだまだやれたなっていう気持ちのほうが大きいんで」。かつての甲子園優勝投手も、そんな自負はすでに忘れ、プロ野球選手としてもがいている。

この秋は遊撃や外野など、シーズン中になかなか起用されなかった守備位置で率先して練習する。「監督に任されたポジションで活躍したいなっていう気持ちです。行けと言われたら行ける準備を」と努力する。

同じくユーティリティー性を買われる佐藤龍世内野手(26)は今季終盤、特に打撃で飛躍を見せた。平沼も負けていられない。「試合に出て、規定打席に行きたい気持ちが強いです」と強い表情で闘志を燃やしている。【金子真仁】