故沢村栄治氏を記念し、シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる「沢村賞」の選考委員会が30日、都内のホテルで開かれ、オリックス山本由伸投手(25)が3年連続3度目の受賞を果たした。選出3度は96年の斎藤雅樹氏以来、5人目。3年連続は58年の金田正一氏以来、65年ぶり2人目の快挙となった。

選考は、ともに16勝を挙げたDeNA東克樹投手(27)との一騎打ちだった。山本が勝利数、奪三振数、防御率、勝率の4項目をクリアしたのに対し、東は奪三振数が届かず、クリアは3項目。一方で負け数は山本の6敗より少ない3敗だった。

2人そろってダブル受賞の提案も出たが、堀内恒夫選考委員長は「その年のベストワンを選ぶというのが私たちの使命。何とか1人に絞ろうと。3年連続で、少しずつ成績は落ちているんですけれども、文句なしの数字」と右腕をたたえた。また今年は、開幕直前にWBCがあった。山田久志委員は「WBCに出た投手は調整が大変だっただろう。山本由伸と東投手の成績は大きくは変わらないけども、じゃあどっちかと言えば、1人なら山本由伸」と、日本代表入りしていた山本を高く評価した。

山本は今オフにポスティングシステムでのメジャー挑戦が見込まれる。堀内委員長は「うわさがいろいろありますんで、一概には言えませんけど、本当は4年、5年(連続で)とってほしい」と話し「他のピッチャー、もう少し頑張ってほしい」と対抗馬の台頭を期待した。

 

◆沢村賞選考委員(敬称略、就任順) 平松政次、堀内恒夫、山田久志、工藤公康

◆沢村賞 故沢村栄治氏の功績をたたえ、1947年(昭22)に制定。同賞受賞者または同等の成績を挙げた投手で、現役を退いた5人を中心とする選考委員会で決定。当初はセ・リーグ投手を対象にしたが、89年から両リーグが対象。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。

 

原則的な選考基準は以下の7項目。

(1)15勝以上

(2)150奪三振以上

(3)10完投以上

(4)防御率2・50以下

(5)投球回200以上

(6)登板25試合以上

(7)勝率6割以上

投手分業制を鑑み、「日本版クオリティー・スタート(仮称=QS)の達成率」も考慮の対象になる。

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