阪神村上頌樹投手(25)が大幅昇給を勝ち取った。10日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、今季の推定年俸は750万円とされていたが、実際は700万円で6000万円増の6700万円でサインした。昇給率857%は、23年阪神湯浅を上回り歴代3位、球団最高の記録となった。自分へのごほうびは「今のところは考えてないので、少し、いろいろ落ち着いたら考えようと思っています」。ドジャース移籍が決まった大谷の大型契約についても言及。「すごいっすね。いや~自分もその金額を(ジョークで)言おうか迷ったんですけど、大きすぎました」と笑った。

今季は初の開幕1軍入り。4月12日の巨人戦で記録した7回完全投球から波に乗り、10勝6敗、防御率1・75をマーク。日本シリーズではオリックス山本由伸投手(25)と初戦で投げ合い勝利を挙げるなど、先発の柱として存在感を発揮。チームの18年ぶりリーグ優勝、38年ぶり日本一の「顔」となった。

球界3人目でセ・リーグでは初となる新人王とMVPのダブル受賞、さらに最優秀防御率のタイトルを獲得。昨季まで1軍未勝利だった男が「大下克上」で成り上がった。1軍で躍動し、シンデレラストーリーを完成させた。(金額は推定)

◆昇給率 旧年俸に対する、アップ幅の比率のこと。昇給額÷旧年俸×100=昇給率。昨年の湯浅は500万円から4700万円で契約を更改したため、昇給額は4200万円。これは旧年俸の8・4倍となるため、昇給率は840%となる。今回の村上はそれを上回る昇給率となった。

◆村上頌樹(むらかみ・しょうき)1998年(平10)6月25日生まれ、兵庫・南あわじ市出身。智弁学園では3年春の甲子園で優勝。東洋大を経て20年ドラフト5位で阪神入団。21年5月30日西武戦で1軍デビュー。175センチ、80キロ。右投げ左打ち。