天国のレジェンド漫画家に届けた。日本ハム野村佑希内野手(23)が8日のDeNA戦で、開幕投手に指名されている好投手東から、オープン戦1号を含む2安打2打点と気を吐いた。

試合前には、全巻読んだという「ドラゴンボール」の作者鳥山明さん死去の報道をネットで知り衝撃を受けたが、野球に集中。悲しみをこらえ、手向けの1発を放った。

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天まで届け。その思いが、打球をひと押しした。奪回を狙う「4番・三塁」でスタメン出場の野村は2回、東の初球、135キロのツーシームに反応した。「積極的にいこうと決めていました」。芯よりやや先だったが、左翼フェンスの最上部に当たるような形で、ぎりぎりスタンドイン。昨季16勝を挙げセ・リーグ最多勝に輝いた好投手から1発たたき込み「入るか微妙だったんすけど。結果を出しているピッチャーから打てたのは、良かった」と手応えを口にした。

試合前、鳥山明さんが亡くなったニュースをネットで知った。「当たり前のように小さい頃から身近にあった本がドラゴンボール。その作者が亡くなってしまうのは驚きというか…」。少年時代、ドラゴンボールは漫画で「全部見た」。ユニークかつスタイリッシュなキャラクターが戦いながら成長していく。爽快な展開を手に汗握り、読み込んだ。その生みの親の死。大きな悲しみに押しつぶされそうになりながらも野球に集中し、2安打2打点と、結果で恩返しした。

好きなキャラクターは21年に映画を見てはまったブロリー。漫画でしか見たことがなかったドラゴンボールを初めて劇場で鑑賞し、迫力ある存在感にほれた。夢を与えてくれた鳥山作品。自身はプロ野球選手として子どもたちに夢を与える立場にある。「野球教室行った時に、思った以上に少年たちが憧れの目を向けてくれる。そういう子たちが憧れて、プロ野球選手を目指したいと思ってもらえるような選手になりたい」と気を引き締めた。

開幕へ向け、自身の調子も上がってきた。4番にこだわり「前掛かっていた」という昨季に比べ今季は「波を小さくできている。反省とか、次の試合どうしようかとか、落ち着いてできている。感触はいい」。昨季途中で奪われた自身のドラゴンボールは「4番・三塁」。手に入れるためのアドベンチャーに今、乗り出す。【永野高輔】

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