岩手・一関出身の楽天阿部寿樹内野手(34)が、「3・11」を前にバットで存在感を示した。

先制した直後の1回2死満塁、カウント2-2から140キロ直球を右前にはじき返し、チームを勢いづける適時打をしぶとく決めた。5打数3安打2打点で先発全員の19安打を放った打線をけん引。「結果が出てくれてるので、これからも頑張ります」。日本ハムにオープン戦初黒星をつける原動力になった。

例年は中日時代を過ごした名古屋を拠点に自主トレを行ってきた。だが、今年はチームメートの浅村主催の沖縄自主トレに初参加。1学年下ながら「ほんとに球界を代表するバッター」と尊敬する主砲から下半身や腕の使い方などを学んだ。2月の実戦で苦しんだ時期もあったが、オープン戦6試合で18打数8安打、打率4割4分4厘、3打点と好調を維持。「浅村さんのおかげです」と笑った。

11日で東日本大震災から13年を迎える。震災発生時は明大3年。同校グラウンドで試合中だったといい、何年たっても「忘れちゃいけない」日と位置づける。「当時は(チームに)いなかったですけど、いろんな方々が大変な思いをしていたので、少しでも野球でいいニュースが届けられるようにと思っています」。移籍2年目。東北に歓喜をもたらすためにバットに思いを乗せる。【山田愛斗】

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