お目覚めや! 阪神佐藤輝明内野手(25)が、約1カ月ぶりの今季オープン戦2号を放った。

ソフトバンク戦(ペイペイドーム)に「5番三塁」で先発出場。4回に左腕和田のカーブを捉え、右中間へソロ本塁打。2月23日巨人戦(那覇)以来の1発となった。2戦連続の猛打賞となる4安打で、三塁打が出ればサイクル安打達成の大暴れ。3月に入り打撃は下降線だったが、V字回復で勢いに乗って開幕に向かう。

グッとこらえた。佐藤輝は和田の115キロカーブに崩されなかった。力感なく引っ張り、右中間のホームランテラス席まで持っていった。2月23日の巨人戦以来となるオープン戦2号。25日ぶりのアーチで完全復調を印象づけた。

「詰まってたんですけど、(テラス席があって)狭くてよかったですね。遅い球だったので、しっかり振り切れました」

4回の第2打席、その初球を仕留めた。高めに浮いた1球を逃さない集中力で、115メートル弾を決めた。3月に入り、結果が出ない。16日の中日戦で初めてオープン戦を欠場。「絶対、フォームは崩れていくもの」と見直しを図り、結果に結びつけた。1軍戦では自身初の2試合連続猛打賞。岡田監督もひと安心だろう。

福岡は原点の地ともいえる。プロ1年目の21年3月5日。プロ初のオープン戦が、ペイペイドームでのソフトバンク戦だった。その第1打席で石川から左翼へ1号ソロ。当時のソフトバンク工藤監督はドラフト時に抽選を外しており「僕が引けなかったばっかりに…」と、苦笑いで後悔させるほどの強烈な逆方向弾だった。昨季は左打者でNPB史上初となる新人から3年連続20本塁打。プロ野球界に自身の存在を知らしめた福岡でのあの1打席が、全ての始まりだった。

そんな縁起のいい舞台で波に乗った。2回には「いい感じだった」と、和田から左翼へ二塁打。本塁打を放った後も7回にオスナから右前打を放つと、すかさず二盗。8回無死一、二塁では左腕長谷川からバットを折りながら左前打を放ち、直後の勝ち越し劇につなげた。昨年9月16日広島戦以来となる4安打は、バラエティーに富んでいた。3月29日の開幕戦へ向け調子も「ちょっとずつ」と、上がってきた。

主砲が打てば勢いに乗る。強打のソフトバンクに打ち負けず16安打10得点。両軍31安打の乱打戦を制し、ようやくのオープン戦2勝目だ。「しっかり確認して、いい当たりを打っていけるように」。オープン戦は残り4試合。岡田阪神に欠かせない5番打者が、仕上げに入る。【中野椋】

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