ロッテ佐々木朗希投手(22)が自己最多の111球を投げ抜いて、今季初勝利を飾った。

初回、2回に得点を許す苦しい投球も、粘りながら試合をつくった。自ら志願して7回のマウンドにも上がり、3安打9奪三振2失点。これまでの球数を超える力投に野手陣も11安打5得点と援護し、快勝した。「ワンチーム」で今季初のカード勝ち越しをたぐり寄せた。

  ◇  ◇  ◇

佐々木にはまだ余力が残っていた。7回2死、145キロのフォークを投げ込み、安達から空振り三振を奪うと、うっすらと笑みを浮かべ、ベンチに戻っていった。自身最多の111球を投げ切ったが、ヒーローインタビューでは「最近あんまり球が速くないので、あんまり疲れてないです」と今季まだ公式戦で160キロを出していないことを自虐気味に話した。

志願の7回登板だった。2年前の4月17日の日本ハム戦。2試合連続の完全試合が期待されたが8回102球で交代した。当時20歳の剛腕は「途中、疲れている部分もあったので、その中で首脳陣の判断」と話していた。

この日は行動で首脳陣の心を動かした。吉井監督は「そろそろ代えてもいいかなと思った」と6回98球を投げ終えて交代も脳裏をよぎった。だがベンチでは捕手の佐藤と次の回の初球について話し込む姿を目にした。「もう1回行ってもらいました」と決断した。22歳になった右腕も「尻上がりに調子が上がってきたのと、序盤はなかなかいい投球ができなかったので、その分イニングを投げて何とかトータルで見て良かったなと思えるような試合にしたかった」と明かした。

昨年から続けるルーティンがある。先発する日は必ず試合前にベンチ入りメンバー全員とグータッチ。自ら選手1人1人のもとに駆け寄っていく姿がある。その行動の意図について「ワンチームです」と笑顔を見せた。この日は野手陣も奮闘。6試合ぶりの2ケタ安打となる11安打と援護してくれた。「2点取られた時には、ちょっと今日苦しいかなと思ったんですけど。1年分の援護点をもらっちゃいました」とジョークも交えながら、チームメートに感謝した。

試合前のグータッチが試合後には勝利のハイタッチに変わり、今季1勝目を挙げた。「なるべく自分の形で勝負しないと、1年間で見たときにはいい数字は残らない」。試合ごとに進化を遂げていく。【星夏穂】

〇…ロッテ佐々木の投球をドジャース、カブス、カージナルス、レンジャーズ、レッズの5球団が視察した。佐々木が将来的なメジャー挑戦への希望を球団に伝えており、ドジャースは前回3月31日日本ハム戦に続いて直接チェックした。

〇…ロッテ友杉(同点打を含むマルチ安打)「(4回の同点打は)めずらしく打てのサインだったので思い切っていきました。できすぎです」

【関連記事】ロッテニュース一覧