<ロッテ3-2西武>◇10日◇ベルーナドーム

ロッテ愛斗外野手(27)は右翼席から響く「愛斗、愛斗! 」がうれしかった。「声援、ロッテファンも大きいですよね」。

延長10回無死一、二塁。吉井監督の「うちで一番バントがうまい」という期待に応えた。緊迫の場面、西武アブレイユの内角直球を三塁線への絶妙な犠打とし、直後のソトの決勝適時打につなげた。「いやぁ、ホッとしました」と3連勝に貢献したことを喜んだ。

ハイレベルな右翼守備の“野性児”は打撃の粗さから西武での出番が減った。現役ドラフトでロッテに移籍。「未練? ないっす」と言ったが、突然の移籍になったことだけは後悔があった。

ベルーナドームで西武ファンは左翼席に陣取っているが「僕のファンってけっこう、ライトスタンドにいてくれるんですよ。『愛斗』のタオルを持って。いつもそこに向かって走っていって」。その景色と空間が大好きだった。

この日、途中出場で8回から守備についた。右翼ではなく左翼のポジションへ走った。目の前には西武ファンだらけ。「愛斗~」と大勢の声が聞こえた。「愛されていたんだな~って…思いましたね」。しみじみ話す。ありがとうございます-。帽子をとって、一礼した。

もう名実ともにロッテの一員だ。冬には「楽しみもありますけど、不安もあります。なじめるかな…」と率直な心持ちを話していた。春になった今は。「なじめてるのかな…。でも、なじむしかないんで」。そんなことを言いつつ、早くも後輩選手たちからけっこういじられている。

試合に勝ち、外野手3人でグータッチし、マウンドへ向かった。ロッテ愛斗は言う。

「昨日、エラーしちゃったんで。ちっちゃいことでも、1プレー1プレーをもっと大事に。チームメートにも首脳陣にもファンにも、愛斗だったら大丈夫だなって思ってもらえるように。だから今日、大事な場面でバント決められたのは良かったなって思います…はい」

新本拠地マリンの右翼席へこぶしを突き上げる日を今は楽しみに、グラウンドを駆け回る。【金子真仁】

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