“せっかちさちや”の早わざ完投で、新庄体制初の貯金5だ。日本ハム山崎福也投手(31)が9回3安打1失点で、オリックス時代の17年7月10日の日本ハム戦(京セラドーム大阪)以来、7年ぶり2度目の完投勝利を挙げた。出身地の埼玉・所沢で、わずか97球、試合時間は今季チーム最短2時間11分で、自身初の無四球完投勝利につなげた。8カード連続の初戦白星で貯金を5に増やし、新庄剛志監督(52)は就任3年目で最多となった。

テンポ良く投げ込む山崎の投球が西武打線に的を絞らせなかった。8回表に打線の援護を受けて勝ち越すと、その裏6球、9回裏は10球。ラスト2イニングは計16球であっさり片付けた。地元所沢での自身初の無四球完投勝利に「親戚や高校の監督も見に来てもらっている中で、いい姿を見せられて良かった」と喜んだ。

持ち前の“せっかち”さが相手に隙を与えなかった。自身の性格について「性格…せっかちな感じはあります。そんなに表には出さないとは思うんですけど」。“さちとら”コンビを組む伏見のサインが出るやいなや、瞬時にモーションに入る。涼しげな顔でずばずばストライクを重ね、9回97球で締めた。2時間11分での終了は今季パ・リーグで2番目に短く、日本ハムの試合では当然、今季最短ゲームセットとなった。

実家から車で数十分で着く身近な所沢のスタジアム。父章弘さんが日本ハムの選手、スタッフだったこともあり「しょっちゅう来ていました。全部日本ハムの試合。外野が芝生だったので、そこでごろごろしたりしていましたね」と苦笑い。当時を思い返し「新庄さん、(森本)稀哲さん、(田中)賢介さん、鶴岡さん。もうほとんど覚えていました」。夢を与えてもらった舞台で、今度は自身が子どもたちに快投を届けた。

指揮官の思いにも応えた。新庄監督は7回の時点で山崎に「9回行くよ」と伝え、ブルペンの準備をさせなかった。その理由について「チームの勝ちも大事ですけど山崎君の成長の方がもっと大事。左の加藤君もしかり、山崎君と、本当の左のエースは誰かっていう争いを僕は楽しみにしている」と、経験ある30代左腕の競争を歓迎した。

プロ10年目、31歳。山崎が日本ハムを選んだ決め手は、球団から「この球団と一緒に成長していこう」と言われたから。美白王子は、その肌のように、きめ細やかな投球により磨きをかけ、さらに強い投手へと進化していく。【永野高輔】

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