2年ぶりの1軍マウンドに、ほろ苦いサヨナラ負けが刻まれた。一昨年10月に阪神からトレード加入した日本ハム斎藤友貴哉投手(29)が、西武戦(ベルーナドーム)で同点の9回に移籍後初登板。右膝靱帯(じんたい)断裂を乗り越えた復活の舞台だったが若林に2ランを浴び、敗戦投手になった。チームの連勝は2で止まり、19年以来の貯金6はならなかった。

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1-1の同点で迎えた9回2死二塁、斎藤が西武若林に投じた初球136キロは狙いよりわずかに上ずった。「勝負にいったので。空振りを狙いにいったというか、そんな感じですね。狙い通りにはいきませんでした」。痛打された球が左翼席に飛び込むのを見届けると、ゆっくり歩いてマウンドを降りた。

阪神時代の22年9月10日DeNA戦以来、599日ぶりの1軍登板だった。昨春2月1日、沖縄・名護キャンプの紅白戦で1球目を投げたところで右膝を負傷。右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂し、移籍1年目をリハビリに費やした。小1の息子とキャッチボールをしたり、家族と過ごす時間に支えられながら、復活の時に備えた。「ここまで待っていただいた球団の方々、ファンの方々、本当にすごくありがたいと思います」。ようやくファイターズのユニホーム姿で、元気な姿を見せられた。

強気は忘れなかった。14球のうち8球投げた真っすぐはすべて150キロ超。最速は155キロを計測した。「気持ち的に攻めていけたので。逃げずに」。堂々とした立ち姿に、新庄監督は「打たれはしましたけど、この悔しさはまた成長につながる。苦しいリハビリからね、それをクリアして投げられたことは、もうおめでとうと言いたいですね」と笑顔を向け、次回登板に期待した。

チームは、勝てば19年8月6日以来、1730日ぶりの貯金6だったが惜敗。右腕は「今日反省して、また(3日からの)京セラからやり返せるように頑張ります。ここからファイターズの戦力になれるようにやっていきたい」。真剣勝負から遠ざかった1年間のブランクを埋めるくらい濃密に。待ちわびたシーズンがやっと“開幕”した。【鎌田良美】

◆斎藤友貴哉(さいとう・ゆきや)1995年(平7)1月5日生まれ、山形県東根市出身。山形中央時代は甲子園出場なし。桐蔭横浜大では4年春に4勝でMVP。ホンダを経て18年ドラフト4位で阪神入団。21年5月28日西武戦で救援登板し初勝利。22年オフにトレードで日本ハム入団。23年2月の紅白戦で右膝前十字靭帯断裂。通算46試合、1勝3敗、防御率5・27。184センチ、92キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸1500万円。