遠慮せず「トシ兄」って呼んで!!

 巨人は30日、宮崎市内での合同自主トレを打ち上げた。3日連続でブルペン入りした杉内俊哉投手(31)は、チームメートとさらに親交を深めるべく「まずはみんなを下の名前で呼べるようにしたい」とし、周囲にも内海哲也投手(29)発案の「トシ兄」と呼ばれることを歓迎した。巨人に移籍してきたFA選手が後輩から「さん付け」以外のニックネームで呼ばれるのは異例。実力実績ともに球界屈指の心優しい左腕が、愛称呼び解禁で投手陣の「兄貴」になる。

 心の“壁”を取っ払うには、シンプルかつベストな方法かもしれない。新天地での合同自主トレを終えた杉内は「徐々に慣れてきたというのもあるけれど、急には慣れないですね」と、ふと本音を漏らした。その上で「ソフトバンク時代のように、みんなを下の名前で呼べるようにしたい」とし、自らは「トシ兄」と呼ばれることを歓迎。先輩後輩関係なく、ニックネームで呼び合って結束を深めたいとの思いを明かした。

 そんな「トシ兄」は、移籍初年度にして合同自主トレ投手陣最年長。自分から積極的に話しかけた方がいいのは百も承知しているが「なかなか行けない性格」と自認する人見知り。さらに「(年が)一番上なので、僕から『どこか行こう』って言ったら断りづらいじゃないですか。それは申し訳ない」という優しさが、遠慮に拍車を掛けている。

 そこで立ち上がったのが、投手陣の柱でもある「テツ」こと29歳内海。宮崎入りした26日、市内の焼き肉店で投手会が開催され、合流初日の杉内に直談判した。

 「『トシ兄』って呼んでいいですか?」

 FA移籍してきた選手は年上で実績十分なことが多く、清原の「キヨさん」など愛称は「さん付け」がほとんど。しかも、杉内のソフトバンク時代の主な愛称は「スギ」という。それでも快く「トシ兄」襲名に応じた。6歳下の東野は「『僕もいいですか』って聞いたら『いいよ』って言ってもらえた」とはにかんだ。1日でも早く、チームに溶け込みたい意欲の表れだった。

 内海は「高木さんが来たときは『タカ兄』になったから。僕が大きい声で言っているから、浸透しているはずなんですけどね」と話したが、実際は内海以外はほとんど呼べていない。合流してまだ5日。背番号18が「トシ兄」と呼ばれ、「トシ兄

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 テツ」や「トシ兄

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 ヒロカズ」など、いろんなコラボレーションが実現したとき、またさらに結束が深まった証しとなる。【浜本卓也】