メジャーの名門球団が超異例の“侍詣で”だ。17日から侍ジャパン強化合宿の視察に訪れているドジャース編成トップのアンドリュー・フリードマン編成本部長(46)が18日、宮崎で取材対応した。合宿初日からメジャー志望のトップ選手が多く集う日本代表に熱視線。米国では自軍のスプリングトレーニングが始まったが、あえて来日した本気度満点のチェックで、将来の“補強候補”たちを見極める。

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ワールドシリーズを7度制覇した米西海岸の名門ドジャースが、遠路はるばる宮崎までやってきた。編成トップのフリードマン氏を含めて4人体制の超本気モード。17日から3日間の弾丸視察の狙いについて同氏は「こんなに才能のあふれる選手が1つの場所に集まるのは、なかなかない。敬意を込めて来た。選手のルーティンを把握できる。なかなか試合では見られないので、しっかり自分の目で確認したい」と話した。

今回の侍ジャパンには、メジャー志望を公言する山本や村上らが集結している。この日も熱心に視察した同氏は「特定の選手名は挙げられないが、すごくいい選手がいっぱいいる。投手陣は大会でナンバーワン。メジャーで活躍できるような才能もあるし、できればドジャーブルーを着てもらいたいね」。個人名を挙げることは避けたが、将来の“補強候補”がいることは示唆。続けて、個人名で印象を問われた質問には、答えられる範囲で反応した。

まずは、今オフにもポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指している山本については「いろんなタイトルを取るなど、日本で活躍している情報はアメリカにも届いている。もし正式にポスティングが決まったら、迎え入れられるような姿勢は準備しています」と、言及した。

25年シーズン終了後に同システムでメジャー移籍を目標とする村上については「この数年間、三塁の守備が良くなっているというリポートもスカウトから聞いている。すごく興味深い。アメリカに来る準備ができたら、しっかりと目を向けます」と、興味を示した。

昨季の完全試合達成で米球界にも名をとどろかせた佐々木については「もちろん若くて才能あふれる投手と知っている。近い将来、しっかり映像で見ます」と、今後の動向を注視する。

日本マーケットを重要視している理由の1つは「日本とドジャースの絆は歴史をさかのぼると深い。その伝統を今後も続けたい」からだという。米国で始まった自軍のキャンプよりも来日を選んだ、過去にも例を見ない“侍詣で”は、95年の野茂英雄氏から始まったストーリーの新たな主役候補がめじろ押しだから。意中の日本人選手との“縁結び”を願いながら、来る“その時”に備える。【木下大輔】

○…フリードマン編成本部長は14年10月にドジャース入りし、名門復活から常勝軍団へと導いた立役者だ。8年間で7度の地区優勝を果たし、20年には球団32年ぶりの世界一。同年のMLB最優秀フロントに選出されるなど、チーム編成ではメジャー屈指の手腕を誇る。

大学時代は外野手も、故障でプレーを断念。その後、投資銀行で勤務し、04年にデビルレイズ(現レイズ)で球団幹部のキャリアをスタートさせた。05年11月に28歳の若さでGMに就任し、低予算ながら在任中に2度の地区優勝を達成。08年には球団初のシーズン勝ち越しを決め、リーグ初Vにも導いた。

デ軍時代には岩村明憲、ド軍では前田健太(現ツインズ)の獲得に尽力。17年途中にはダルビッシュをレンジャーズから獲得した。また18年途中にマチャド(現パドレス)をオリオールズから獲得するなど、大型トレードも成功させている。

○…今オフにもメジャー挑戦の可能性がある山本が、ド軍編成トップの視察に感謝した。17日からフリードマン編成本部長が宮崎を訪れていることは「知りませんでした」と、びっくり。練習風景も動画撮影されるなど、動向を注目されていたことを伝え聞き「ありがたい。もっともっと頑張ろうと思いますね」と話した。

○…侍ジャパンの強化合宿には、多くの著名人が訪れている。高橋由伸氏、岩村明憲氏、中畑清氏、松坂大輔氏、野茂英雄氏、川崎宗則氏、金村義明氏、斎藤佑樹氏、杉谷拳士氏、牧田和久氏ら豪華な顔ぶれ。前日には俳優・東山紀之、この日はタレントの南原清隆もテレビ番組の取材で訪れた。また、この日、同じ公園内の球場で巨人2軍と練習試合を行ったソフトバンクの小久保2軍監督が来場し、栗山監督と談笑。前回と今回の侍指揮官がそろい踏みした。