WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23)の弟で、前東洋太平洋同級王者の拓真(20=ともに大橋)が、12月に1階級上のWBO世界バンタム級王者マーロン・タパレス(24=フィリピン)を相手に世界初挑戦することが決まった。大橋会長が5日、井上尚のV3戦の一夜明け会見が行われた横浜市内のジムで明かした。IBF世界ライトフライ級王者八重樫のV2戦と合わせたトリプル世界戦となる予定で、兄弟同時世界戦は13年の亀田兄弟(大毅、和毅)以来、3年ぶりとなる。

 会見の冒頭、大橋会長が井上拓の世界挑戦をサプライズ発表した。「拓真は12月の次戦でタパレスに挑戦させます」。前日の世界前哨戦で、初回にダウンを奪われるも、終盤に2度ダウンを返して完勝した姿から愛弟子の成長を実感。「あの試合で100%チャンピオンになれると確信した。強い王者だが、拓真ならやってくれると思う」と王座奪取に自信を見せた。

 井上拓は、プロ9戦目で迎える大舞台に「自分としては一番良いタイミングで決まった。プロになった時から兄弟で世界王者になることを目指してきた。兄に続けるように、必ず勝ちます」と闘志を燃やした。29勝(12KO)2敗の実績を持つタパレスは、今年7月に王座を獲得したサウスポー。「パンチがありそうだが、スタイル的にはかみ合うと思う」と印象を語り、フィジカル面の強化を試合に向けた課題に挙げた。

 井上尚は、3歳年下の弟の世界挑戦に「決まってうれしい半面、自分の試合よりも心配」と兄としての心境を吐露。「相手をしっかり見きって、攻め急がないことが重要」とアドバイスを送った。自身は腰に痛みを抱えながらも、10回KO勝ちでV3を達成した。次戦ではWBA王者コンセプシオンとの統一戦の話が浮上している。「団体が増えた分、ランキングが薄くなっている面はあると思う。そういう意味でも統一戦はぜひやりたい」とビッグマッチをアピールし、「必ず2人そろってチャンピオンで終わりたい」と力を込めた。【奥山将志】

 ◆井上拓真(いのうえ・たくま)1995年(平7)12月26日、神奈川・座間市生まれ。兄尚弥の影響で小学1年からボクシングを始め、高校2冠。13年12月に大橋ジムからプロデビュー。15年7月に東洋太平洋スーパーフライ級王座を獲得し、2度の防衛後に返上。162センチの右ボクサーファイター。家族は両親と姉、兄。プロ戦績は8戦全勝(2KO)。