ボクシング界の「カズ」になる-。前WBAスーパーフェザー級スーパー王者内山高志(37=ワタナベ)が28日、王者ジェスレル・コラレス(25=パナマ)との再戦(31日、大田区総合体育館)へ、都内で予備検診に臨んだ。4月に2回KO負けでベルトを奪われた相手を下し、目指すのはサッカーJ2横浜FCのFWカズ(三浦知良=49)。国内最年長世界王者奪取記録を更新し、尊敬する男に1歩でも近づく。
8カ月ぶりの因縁のパナマ人との再会。内山の心は躍った。「今日見て、またワクワクしてきました」。約6年ぶりとなる挑戦者の立場。年を重ねても、戦う気力に衰えは見えない。コラレスが9つの作戦を用意していると聞くと、「じゃあ、僕は10個ですね」と負けじ根性をのぞかせたのも、その表れだろう。
勝てば37歳1カ月での王座奪取になる。9月に35歳9カ月で3階級制覇した長谷川穂積を抜き、日本人最年長。側頭部には白髪も目立つが、「現役中は染めないですよ」と話す姿は、白髪姿でピッチを走るサッカー界の「レジェンド」カズに重なる。「本当に憧れの存在です」と尊敬してやまない先人だ。
サッカー少年だった。FWで背番号は「11」。もちろんカズのまねだ。初のサッカー観戦がV川崎戦だったのも、カズを見たかったから。94年W杯アジア最終予選イラク戦「ドーハの悲劇」の翌日は、ショックで学校を休んだほどで「自分なんて100分の1も及ばない。恐れ多い」と謙遜するのは、敬愛の裏返し。
今は当然、目の前の相手しか見ていない。「使命感というのか、はっきりとした目標がある」と雪辱戦に燃える。日本歴代2位の11度の防衛戦を重ねたゆえに失っていた挑戦心を明かし、「楽しい」と破顔した。来年50歳になるカズ。内山もボクシング界では超ベテランの年にさしかかっていく。再び「レジェンド道」を歩むために、借りを返す。【阿部健吾】
◆4月の初戦VTR スーパー王者内山がプロ26戦目初黒星で、6年3カ月守った王座から陥落した。暫定王者コラレスは守備重視かと思われたが、1回途中に右フックで顔面をとらえると一気に攻勢に。2回1分すぎに内山の右ストレートの打ち終わりに左フックを合わせてダウン奪取。直後にスイッチで右構えから2度目のダウン、さらに攻め立て、2分59秒に3度目のダウンでKO勝ちした。

