大相撲の7場所連続休場中の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が2日、名古屋市内の九重部屋に出稽古して、同じく出稽古に来ていた横綱白鵬(33=宮城野)と三番稽古を行った。

 たまたま、九重部屋で会ったという両横綱。関取衆による申し合い稽古中に、白鵬から声をかけられた。関取衆の申し合い稽古が終わると、両横綱が土俵に上がった。白鵬は終始、鋭い立ち合いから激しい突き押しや寄り、投げなどで圧倒。稀勢の里は白鵬の厳しい攻めを受けながらも、自分の形を必死に作ろうともがいた。

 10番取って稀勢の里は2勝8敗だった。数字だけ見れば物足りなさを感じるが「目覚めた感じはしますね」と、充実の表情を浮かべた。白鵬との稽古は昨年春場所前以来で、横綱相手だったからこそ感じとれた何かを肌で感じている様子だった。

 一方の白鵬は「稀勢関は横綱として千秋楽まで取り切った経験が少ない。もっと感じてもらいたいし経験してもらいたい。なんとかこの危機を乗り越えてもらいたい」と、先輩横綱としてエールを送った。また「横綱になった者にしか気持ちは分からない」と、稀勢の里の現状を思いやった。