東日本大震災から4年となった11日、AKB48グループのメンバーが3県(宮城、岩手、福島)の被災地を訪問してミニコンサートなどを行った。福島県南相馬市には、同県内で被災した後、グループの復興支援活動に心を動かされてAKB48チーム8に入った舞木(もうぎ)香純(17)も訪問。先輩たちと一緒に復興へのエールを届けた。

 松井珠理奈(18)宮脇咲良(16)倉持明日香(25)ら、そうそうたる顔触れとともに、見慣れぬメンバーが1人いた。初々しい振り付けで「ヘビーローテーション」や「希望的リフレイン」を踊る、ショートカットの女の子。「福島県出身の『かすみん』こと舞木香純です」。緊張した様子であいさつすると、客席からどよめきが起きた。「私も震災に遭いました。そのころはつらい思いをしたけれど、今では前向きに頑張っています」。そう告白すると、「かすみ~ん」と激励の歓声が上がった。

 中学1年の時に福島県内で被災した。学校の体育館でバレーボールの練習中だった。窓枠がガタガタ鳴る音も、級友たちと泣きながら高台の校舎に避難したことも、鮮明に覚えている。津波の難こそ逃れたが「(津波を)とても見られる精神状態じゃなかった」。

 追い打ちをかけるように、自宅が福島第1原発の避難区域に指定された。親戚が住む県内へ避難。転校先の学校になじめず、悩んでいた時に出会ったのがAKB48だった。

 13年3月11日、被災地訪問でいわき市に来たAKB48を見た。放課後に駆け付け、途中からだったが、アイドルたちは遠い席からでも輝いて見えた。「みんなどこか暗くて沈んでいたんです。そんな時にAKB48を見たら、私も他のみんなも、すごく笑顔になれた」。昨年、47都道府県から代表が集うAKB48チーム8のオーディションに合格。運命に導かれるように劇場のステージにも立った。

 希望の光が見えた日からちょうど2年。また、忘れられない「3・11」をこの日、迎えた。南相馬市の山田神社で献花した後、ミニコンサートで故郷のステージに立った。今度は被災者に声を送り、励ます側になった。「へこんでいた時、先輩たちのパフォーマンスに勇気づけられた。今度は私の姿を見て、AKB48を目指す人が出てくればいいな」。自分に続く未来のAKB48に、背中を見せること。それが、AKB48に希望をもらった舞木の恩返しになる。【森本隆】

 ◆舞木香純(もうぎ・かすみ)1997年(平9)4月28日生まれ、福島県生まれ。14年にAKB48チーム8の福島県オーディションに合格。同年8月にAKB48劇場で公演デビュー。愛称「かすみん」。161センチ。血液型O。