マーベル・コミックの実写映画を同一の世界観でクロスオーバーさせた「マーベル・シネマティック・ユニバース」作品群の中で、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(14年)は異色の作品と言える。
コミックの中では知名度の低かったマイナーヒーローを活躍させ、この映画のヒットをきっかけに登場キャラたちがコミックの中でも活動の幅を広げるという逆転現象を引き起こした。
この作品で名を挙げたジェームズ・ガン監督(54)がライバルDCコミックに世界を移し、存分に手腕を発揮したのが「ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結」(13日公開)である。
収監中の極悪人軍団を減刑と引き換えに決死のミッションに送り出すという設定は前作(16年、デヴィッド・エアー監督)を踏襲しているものの、他はガン監督が一から組み直した怪作になっている。
悪カワキャラとしておなじみになっているハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)、最凶スナイパーのブラッドスポーツ(イドリス・エルバ)、性悪のキャプテンアメリカとも言えるピースメイカー(ジョン・シナ)らに加え、ネズミ使いのラットキャッチャー2(ダニエラ・メルシオール)。ここまではまだ人間の形をしているが、サメ人間のキング・シャーク、人狼というか、あきらかに動物のウィーゼルなど、文字通りの「はみ出し者軍団」がまずは見ているだけで楽しい。
テンポのいい展開にさりげなく折り込まれたそれぞれのキャラ紹介。決してトゥーマッチには感じさせない見事な情報さばきはガン監督の真骨頂だ。
某独裁国に侵入し、隠し持っている「究極の兵器」を破壊するのが彼らの極秘ミッション。序盤の上陸作戦から血の雨が降る。
5年前、英国の保険比較サイトが発表した「1940年代以降の映画で描かれた殺人集計数」によると、「ガーディアンズ-」は8万3871人で歴代1位だったという。この結果にはガン監督自身が驚きのツイートをしたそうだが、今回もメインキャストの1人ではないか、と思っていた人物がこの序盤であっけなく死んだりする。激烈なサバイバルがいきなり始まって目が離せなくなる。
そして、往年の怪獣映画をほうふつとさせる「究極の兵器」の登場まで、ガン監督が繰り出すネタの量は、まるで大食い選手権の食材だ。それを見事な調理で最後までおいしく味わせてくれる。
ハーレイ・クインがすっかりはまり役になったロビーのアクションは今回もキレキレだ。撮影にはかなりのエネルギーを費やすようで、ロビー自身「ハーレイ役が続いて大変だった。彼女を演じるのは疲れるから。次がいつなのか、みんなと同じで私も気になるけど、今は休憩が必要なの」と米誌の取材に明かしている。
もっとも記憶に残ったのは、平和のために残酷なまでの暴力をふるう「矛盾の人」ピースメイカー。プロレスラーのジョン・シナがいい味を出している。やはりというべきか、彼が演じるピースメイカーを主役にしたスピンオフドラマも制作されるという。
ともあれ、見どころ満杯の娯楽快作。ちなみシルベスター・スタローンも出演している。【相原斎】




