39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された夫・只野晃一とその妻・真央の9年間の軌跡を描いた実話に基づく物語。同作は認知症をみる側と当事者の双方に焦点を当て、認知症とともに生きる方法を描いている。
貫地谷しほり演じる、妻の真央は、世間が持つ認知症らしさのイメージを体現している。認知症になると何も出来ないと思い込み、無意識に手を貸す、診断を否定し、脳トレドリルや認知症に良いとされる食事をそろえるなど、懸命な姿は世間の「認知症と診断されたら人生の終わり」という考えをリアルに描いたように感じる。
一方で和田正人演じる、夫の晃一は当事者の視点から、ネガティブな認知症の価値観を覆す。診断後に見える社会の変化から、出来ることは自分で行い、困ったときは助けてほしいという本心を見る側が気付かなければ悪循環に陥ることを気付かせてくれる。
日本では認知症のシンボルカラーとしてオレンジ色が使われることが多い。認知症をテーマにしながら希望に満ちた同作には多義的なランプが登場する。そのランプは何を照らすのか、夫婦の心情の変化と合わせて注目してほしい。【加藤理沙】
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