6月18日の夜、ABCラジオで「桑原達秋 ワタシの履歴書」なる番組が放送された。本来ならプロ野球中継の時間。この日は交流戦最終戦翌日のため、野球はお休みで、単発番組の登場となった。
桑原達秋とは、桑原征平(元関西テレビのアナウンサー)の息子で、昨年まで福井テレビに勤めていた。「日本全国 福むすび」というローカル番組に出演し、福井では知らぬ人がいないほどの人気者。それが一念発起し、地元関西でフリーのタレントとして再スタートを切ったのだ。
しゃべりを聴いていると、確かに父親のDNAをしっかり受け継いでいる。ささいな話題でも熱量いっぱいに声を張り上げ、リスナーにぐいぐい迫ってくるのだ。
「ワタシの履歴書」というタイトルどおり、番組では兵庫県西宮市で生まれ、1995年1月17日の震災を経験したことなどを語った。震災時、避難所で父が被災者といっしょに笑顔でいる中継を見て「こんな時になんで笑えるねん? この人はすごい!」と感動したという。
父の背中を追ってアナウンサーを志望するも、軒並み入社試験に失敗。「ABCも落とされました。なんとか拾ってくれたのが福井テレビでした」。
関西弁しか話せない父親同様、標準語に苦戦し、さらに慣れない福井弁にも戸惑った。天気予報で「低気圧、高気圧」を「低血圧、高血圧」と読み間違って、上司をあわてさせたエピソードには笑ってしまった。
一方、まじめに反省しすぎる性格が災いし、体調を崩し、休職したこともあった。アナウンサーから他の部署に移ったが、やがて「もう一度しゃべってみないか」と誘いの声。それが2017年4月に始まった「日本全国 福むすび」だった。福井の魅力を広く伝えようとする番組で、「桑原隊長」として最前線に立った。
昨年秋からABCラジオ「征平・吉弥の土曜も全開!」のリポーターを経験しているが、メインで2時間もしゃべるのは今回が初めてだった。それでも「レギュラー番組が欲しいんです!」と本音丸出しで声を張り上げた。
デビュー戦とすれば、個性を存分に発揮できたのではなかろうか。父征平は関西テレビを退社後、ABCでラジオパーソナリティーとして、その個性をフルに発揮。いまや同局に欠かせない存在となった。
その父の後を追う息子。遠くないうちに「桑原達秋の○○」という新番組でパーソナリティーを務めているかも。今年50歳になる“おっさん”の挑戦に注目したい。【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミへキタへ~」)




