上方落語の重鎮、桂米朝(70)が19日、関西の落語家として初めて「人間国宝」(重要無形文化財保持者)に認定された。昨年の柳家小さん(81)に続いて落語家として二人目。米朝は「上方落語が見直され、さらに飛躍への足掛かりになれば」と、大阪市内で喜びを語った。

 若いころにはディスクジョッキーやドラマ出演など、ジャンルを超えた活動を展開してきたが、「本芸をおろそかにしたことはない。つらいことはあったが、やめようと思ったことは一度もなかった」と振り返る。埋もれた話の復活も含め、ネタの数は130にも上る。「小道具もなく簡単なしぐさで大勢のお客さんをドラマのような世界に案内できるのがうれしい」と落語の魅力を語る。

 最近胆石で入院したが、体調は上向き。山のような資料の整理と、長年気に掛かっていたネタを下ろすのが当面の目標。息子の桂小米朝(37)も「仕事しか趣味はないから、まだまだやるでしょう。体調が回復してからの受賞だけに、本人も余計にうれしいはず」と太鼓判を押す。米朝も「関西には60人がおる。これからが上方落語の正念場や」と意気軒高だ。

 人間国宝は文化財保護審議会(鈴木勲会長)で選考され、米朝ほか歌舞伎の中村芝翫(しかん=68)、一中節浄瑠璃の都一いきさん(69)、清元節三味線の清元栄三郎氏(68)ら12人を認定するよう奥田幹生文相に答申した。

(1996年4月20日付日刊スポーツから)