【米ニューヨーク10月31日=林尚之】NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」で人気者になった米女優シャーロット・ケイト・フォックス(30)が、アンバサダー劇場で上演中のミュージカル「シカゴ」でブロードウェーデビューした。カーテンコールで、シャーロットは日本語で「出来た!」と笑顔を見せた。12月4日から東京・渋谷の東急シアターオーブで凱旋(がいせん)の来日公演を行う。

 シンデレラストーリー第2章が完結した。シャーロットはカーテンコールで、約1000人の観客のスタンディングオベーションに笑顔で投げキスをした。「キャノン砲で押し出された気分。緊張したけど興奮してクタクタです」。米国南西部のニューメキシコ州サンタフェで「大きな舞台に立ちたい」と願った少女の夢がかなった瞬間だった。

 前夜は「驚くほど眠れた」というシャーロットは、ホテルから大きな荷物を持って劇場入り。愛人殺しのロキシーをかわいく、しなやかに演じ、透明感ある歌声、シースルーの衣装と小悪魔的なセクシーダンスで観客を魅了した。客席に約3000キロ離れた故郷から母シンディ・ディモンさん、祖母ら家族、親戚、友人ら55人が駆け付け、母は「最高です。娘を愛しています」と涙した。

 道のりは長かった。演劇大で学び、ニューヨークで多くのスターを生んだ演劇スタジオに入ったが、出演した舞台は地域の小劇場だった。昨年、チャンスを求めて「マッサン」のオーディションに応募。エリー役の好演で人気者になった。シンデレラストーリーはそこで終わらなかった。「シカゴ」来日公演を予定した日本側制作者が着目し、米国側の了解を得て起用が決定。かつてない米国に逆上陸という第2章が始まった。

 ロキシーは米女優ブルック・シールズ(50)、米倉涼子(40)、直前にはブルース・ウィリスとデミ・ムーアの娘ルーマー・ウィリス(27)が出演した大役。米国で無名のシャーロットは「前夜、母に『愛してるわ。頑張りなさい』と言われて心強かった。これ以上言うと、泣きそうになる」と目を潤ませた。

 「マッサン」終了後の今年3月から自主稽古、8月下旬から米国で本格的な稽古と、半年以上も「シカゴ」漬けだった。「出来たよ」と達成感に浸り、「(出演者と)一緒に楽しむことができてうれしかった。今日のことは誇りです」。11月15日まで計17回出演し、12月は日本で凱旋公演を行う。「日本でまた経験を積んで、前に進みたい」。新たな第3章が始まる。

 ◆「シカゴ」 シャーロットの初日で1996年の初演からの上演回数が7874回となり、ブロードウェーで「オペラ座の怪人」に続くロングラン作品。1920年代のシカゴの刑務所を舞台に、愛人を殺した人妻ロキシーと、悪徳弁護士ビリーの力で注目を集めてスターとなったヴェルマの駆け引きを描いた。来日公演は東急シアターオーブで12月4日から23日まで、大阪・梅田芸術劇場で12月26、27日。