多くの人種が混在しているため、「人種のサラダボウル」と呼ばれるアメリカ。白人が人口のおよそ7割、アジア系が1・5割、黒人が1割を占めている。2009年にはオバマ大統領が初の黒人大統領に就任したことが人種問題解決への大きな一歩となったものの、人種関連の犯罪や学校でのいじめが後を絶たない。

 ハリウッドでも人種は大きな問題である。カリフォルニア大学による2014年の調査によると、2011年に製作された映画のうち、白人以外が主演したのは10.5%のみ。人口の3割が白人以外であることを考えると、とても低い数字である。2016年のアカデミー賞では、ノミネートされた俳優は白人のみだった。さらに、映画のキャスティングでは白人でないはずの役を白人が演じることも少なくない。たとえば、ピーター・パンを題材にした映画『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』(15年)では、ネーティブ・アメリカンであるタイガーリリーを白人の女優ルーニー・マーラが演じることに抗議の声が上がった。

 このような問題に対して、多くのセレブが反応している。2016年のアカデミー賞司会者で黒人のクリス・ロックは人種差別に焦点を当て、「同じ機会を与えられるべきだ」と主張。俳優のウィル・スミスと彼の妻は抗議を示すためアカデミー賞に出席しないことを明らかにした。

 ハリウッドの人種問題は、TwitterなどのSNSでも人々の関心を集めている。2016年のアカデミー賞の際には、「#OscarsSoWhite(真っ白なオスカー)」がトレンド入りし、このハッシュタグとともに多くの人が偏ったノミネートを批判した。さらに、クリス・ロックがアジア系の子供3人に舞台上で銀行員を演じさせると、多様性を主張する司会でありながらアジア系をジョークのネタにしたとTwitterで炎上。日系アメリカ人の俳優ジョージ・タケイらが抗議の手紙を主催者に送るという事態にまで発展した。

 アカデミー賞のノミネートが偏っている理由は、主催団体「映画芸術科学アカデミー」にあると批判されている。このアカデミーは映画業界のプロフェッショナル6000人以上の会員から成っているが、このうち94%が白人である。アカデミーの会員の投票によってノミネート作品、そして受賞作品が決まるため、投票者のほとんどが白人であることがアカデミー賞の結果に影響していると非難の的になっている。

 複雑な問題だが、こうしたハリウッドの動きはアメリカの社会を反映している。声をあげる人が増えることで、多様性が本当に尊重される社会が実現することを願う。

【ハリウッドニュース編集部】