樹木希林(74)が16日、東京芸術劇場で行われた、第26回日本映画批評家大賞授賞式でダイヤモンド大賞(淀川長治賞)を受賞し、「私は小さく見積もって、あと1年ちょっと生き延びて、映画というものに取り組んでいきたい」とあいさつした。

 樹木はスピーチの中で、最近、読んだ文章から「国を滅ぼすのは青年の失敗ではない。老人の跋扈(ばっこ)だ」という一文を紹介した。その上で、ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞)を受賞した小松政夫(75)が「私を評価していただいて…これから、もう5年頑張ろうかなと思いましたが、あと10年は頑張らせてもらおうかな」などとスピーチしたを引き合いに、今後の活動期間についてジョーク交じりに語った。

 ダイヤモンド大賞は、映画界への長年の功績をたたえて贈られたものだが、樹木は自身が長年、貢献していないと受賞理由を一刀両断した。

 樹木 長年の功労でいただいたと言うんですが…私は60年近く、役者をやっているんですが、映画に関わったのは病気(がん)をしてからセリフが覚えられなくなって、テレビで続けて言えなくなって軸を(移した)。カットで撮る映画で生かしてもらおうと気楽できたので…この10年なんですね。ちっとも功労ではありません。

 樹木の登壇は大トリで、開会から約2時間が経過していた。「みなさん、長かったですね。(同じ卓に座った)松本さん(零士氏)が、時計を見た気持ちが分かりました」と言い、会場を爆笑させるなど、歯に衣(きぬ)着せぬ、そして爽快な樹木節は全開だった。【村上幸将】