中村獅童(46)が23日、都内で、「八月南座超歌舞伎」(8月2~26日)の制作発表会見に出席した。

超歌舞伎は、獅童とバーチャルシンガー初音ミクが共演し、デジタルと古典芸能を融合したもので、16年から「ニコニコ超会議」で上演してきた。1カ月公演が決まり、獅童は「歌舞伎の聖地である南座で新しい芝居ができるのは、本当にうれしいこと。歌舞伎を見たことがない若者を振り向かせるのが中村獅童の使命。これからも伝統と革新を追求していきたい」と話した。

演目は、獅童と初音による書き下ろしの舞踊「當世流(いまよう)歌舞伎踊」と、超歌舞伎の代表作「今昔饗宴(はなくらべ)千本桜」など。

「-千本桜」では、獅童が宙乗りをする演出が新たに加えられる。獅童は「初音ミクさんと宙乗りしたい。ミクさんを説得してます。返事待ちです。昨日も電話した」と、ジョークを交えて希望を語った。初音との共演も4年目になり、獅童は「歌舞伎の経験がないのに踊りが大変上手になって。僕も負けないように頑張ります」。

南座の思い出について聞かれ、獅童は13年に亡くなった母陽子さんを思い出して涙ぐんだ。「南座は思い出がいっぱいです。まだ役がつかないころ、1役だけ短く出させていただいた。ホテルに帰ったら、母が手紙を書いてくれていて。うん…。『あなたは大丈夫』というような置き手紙をしてくれていた。25、26歳だったのかな」と声を詰まらせた。

超歌舞伎の広がりについても期待する。獅童は「ぜひ違う劇場でもやってくれと言われたら、うれしい。成功したらパリに行きたいです」。

配役を変えて「-千本桜」を上演するリミテッドバージョン8公演では、澤村國矢が主役をつとめる。