上方落語家桂文枝(76)が11日夜、自身のブログに、弟子の桂三金(本名・奥野武志=おくの・たけし)さんが9日に脳幹出血のため、48歳で急死したことについて、天皇陛下のご即位パレードへ配慮して、情報漏れを避けようとしたものの、ならなかったことを“謝罪”した。

三金さんは芸歴25周年を迎え、大阪・天満天神繁昌亭では、同期のはなし家らが集まって公演を集中的に開催。8日にも三金さんが出演しており、9日に急死。10日が、その公演の千秋楽だった。

文枝は当初「(パレード一夜明けの)今日(11日)、三金のことを、吉本から一斉配信の予定でした。天皇陛下即位パレードを鑑みて、その明くる日にという配慮でした。わたしも、それに賛成して、そうするつもりでした」と記した。

ところが、最終日の10日、三金さんのはなし家仲間から「日曜最後に三金の出ばやし『喜撰くずし』を流してもいいですか」と聞かれたと明かし、文枝が「すこしでも、金の供養になれば」と承諾したという。

結果として、大勢の客前で三金さんの訃報を伝える形となり「そこから漏れたことになりました」とし、10日夜の公演後に、三金さんの急死が明らかになった。

このことから「吉本興業に、本当に申し訳なかったと思っております。いや、もう少し熟考し、相談すればよかったと、反省しております」ともつづった。

三金さんは文枝の9番弟子。体重120キロを超える大きな体が愛くるしく、文枝と同じく関西大学の落研(落語研究会)の出身。金融関係の仕事を経て、94年に弟子入りした。

母校の後輩でもあり、最近でも、文枝の回りでよく世話をする姿がみかけられ、一門のムードメーカー的な存在でもあった。師弟の結びつきは、家族にも似た落語家の世界。それゆえ文枝には、少しでも三金さんの供養になれば-との思いが強かった。弟子の同期らからの申し出を断ることは、しのびなかったに相違ない。

この日は、大阪・なんばグランド花月での出番を勤め上げ、帰路についた。ブログには「みなさまにも、ご迷惑かけました。なんか、だんだん寂しいです」と切ない思いもつづり、締めている。