反ユダヤ主義的な発言で批判を浴びている米ラッパーでファッションデザイナーでもあるイェイことカニエ・ウエスト(45)が25日、ドイツのスポーツ用品大手アディダスから提携を解消されたことが分かった。

カニエのブランド「Yeezy(イージー)」は、アディダスとコラボレーションしたスニーカーで大成功を収めており、契約解消によって純資産の15億ドル(約2250億円)を失うと米Usウィークリー誌などが報じている。

米経済誌フォーブスによるとウエストの推定総資産は20億ドルだが、アディダスとの契約を失った場合の資産は推定4億ドルに減少すると伝えている。アディダスはこれによって、今会計年度の純利益が最大2億5000万ユーロ(約367億円)の打撃を受けることが伝えられている。

ウエストは今月初めに仏パリで開催されたファッションショーで、人種差別運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」に対抗して米極右団体が使用しているスローガン「ホワイト・ライブズ・マター(白人の命は大切)」がプリントされたTシャツを着用して登場して物議を醸した。

また、その後もSNSに反ユダヤ主義的な主張や陰謀論を連投して批判を浴び、ツイッターとインスタグラムのアカウントを停止された。

アディダスは、こうした一連の言動について「容認できず、憎しみに満ちた危険なもの」とコメント。イージーとのコラボ製品の生産を終了し、即時提携を停止すると発表した。

ウエストはすでに仏ファッションブランドのバレンシアガからも関係を打ち切られている。また、元妻でタレントのキム・カーダシアンとの離婚裁判を担当していた6人目の弁護士も、危険な発言を続けるウエストの弁護を降りたことが伝えられており、窮地に立たされている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)