柄本佑(36)が初の助演男優賞を受賞した。「助演とか主演とか、今のところ、そこまで違いを感じていない」。はじけるような受賞の喜びを口にしないのは、その向く先が違うからだ。「スタッフの方が喜んでくださることが、うれしい。自分が、というよりは」。
そのスタンスは役作りにも通底している。「川っぺりムコリッタ」(荻上直子監督)で主人公に父の死を伝え、親身になって寄り添う役場の職員、「夜明けまでバス停で」(高橋伴明監督)では、世の中を扇動するユーチューバーと役の振れ幅は広い。「衣装、メークで、虚構の存在を作る作業は面白い」と語る一方で「自分1人でやっているものではない」との前提がある。
「多くのスタッフの中『こっちがいい』と言うだけで勇気がいるけれど、自分の中で何かがある時のような気がする」。その思いが発揮されたのが「ハケンアニメ!」(吉野耕平監督)だ。ビジネスライクに見えるが、作品のために悪者になるのもいとわないアニメプロデューサーを演じ、吉野監督が「面白く嫌な役作りで、こういう役だと見せてくれた」と絶賛。柄本は「許容していただけると、頑張ろうと思える。泳がせてくれた監督の演出」と感謝した。
来年1月7日には監督作「ippo」の公開が迫る。「この職業を続けるモチベーションの1つが映画が好きだという気持ち。映画館に通い続ける役者でありたい」。“映画小僧”柄本にとって受賞は映画の道の道しるべにすぎないのかもしれない。【村上幸将】
◆選考経過・助演男優賞 「助演の役割を強く感じた」(笠井信輔氏)「『ハケンアニメ!』の魅力は柄本さんの存在によるところが大きい」(品田英雄氏)など1度目の投票で首位も、2位磯村勇斗への支持も根強く、決選投票を行い、柄本が制した。
◆柄本佑(えもと・たすく)1986年(昭61)12月16日、東京都生まれ。03年の映画「美しい夏キリシマ」で主演デビューしキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞。18年には同賞で主演男優賞を受賞。妻の安藤サクラも主演女優賞を獲得し、夫婦受賞が話題に。
◆ハケンアニメ! 斎藤瞳(吉岡里帆)は行城理(柄本佑)の抜てきで「サウンドバック 奏の石」で監督デビューも気合が空回り。同時間帯に放送される憧れの王子千晴(中村倫也)復帰作「運命戦線リデルライト」との戦いで“ハケン=覇権”を目指す。
◆夜明けまでバス停で 北林三知子(板谷由夏)はコロナ禍で仕事と家を同時に失い深夜、バス停の細いベンチで仮眠をとっている。そこにやってきた男がコンビニ袋に石を詰め頭上に振り上げる。男はユーチューバーKENGO(柄本)の配信を見ていた。
◆川っぺりムコリッタ 山田たけし(松山ケンイチ)は無一文状態で北陸のイカの塩辛工場で働き、安アパートに住み始めた。ある日、子どもの頃に自分を捨てた父が孤独死したと役場の職員・堤下靖男(柄本)から連絡が入り、反発しつつも引き取りに行く。
昨年「孤狼の血 LEVEL2」「燃えよ剣」「土竜の唄 FINAL」で助演男優賞を受賞した鈴木亮平(39) 柄本佑様、このたびは第35回日刊スポーツ映画大賞助演男優賞受賞、誠におめでとうございます。たくさんの作品で、佑さんが硬軟自在な役柄を演じられている姿を、映画ファンとしていつも楽しみに拝見しております。いまだしっかりと共演させていただいたことはなく、ジムで昔トレーニングについて熱い会話を交わした思い出のみを共有する私たちですが、いつか近いうちに、ご一緒させていただくことを楽しみにしております。これからも佑さんの演技で、僕たちを感動させてください。



