大沢たかお(55)が24日、都内で行われた主演・プロデューサーを務めた映画「沈黙の艦隊」(吉野耕平監督、9月29日公開)完成報告会で「長い道のりだったなと思いながらスタートラインに立ててワクワク」と、笑みを浮かべた。
大沢は、かわぐちかいじ氏(75)が1988年(昭63)から96年まで漫画誌「モーニング」に連載し、累計発行部数3200万部(紙・電子)を誇る、同名漫画を、連載から約30年の時を経て実写化するにあたり、防衛省、海上自衛隊から「今だから協力したい」と言われたことを明かした。ロシアのウクライナ侵攻など、作品が訴えるテーマと重なる世界的な問題が発生している中、実写映画が完成した現状を踏まえ「作れと言われているのか…」と因縁を感じていることも明かした。
「沈黙の艦隊」は、Amazonプライムビデオが日本国内で映像制作をスタートして5年で初めて劇場版映画を製作した。日本初の原子力潜水艦が日米共同で極秘裏に建造され、日本人でありながら米艦隊所属という数奇な運命を背負った、超高性能原潜の艦長・海江田四郎が、理想とする世界の実現を目指して乗員76人を伴って航海中に逃亡。海中での天才的な戦闘術に、日米が翻弄(ほんろう)され、重大な決断と選択に迫られる物語。
大沢は、出演した「キングダム」「-2 遥かなる大地へ」を手がけた、クレデウスの松橋真三プロデューサーから声をかけられ、約2年前から企画を進め、撮影は22年夏から始まった。日本で初めて海上自衛隊・潜水艦部隊の撮影協力を得て、実際の潜水艦を使用した。「企画を最初に立ち上げた時、松橋プロデューサーからトライできないかと声をかけられた。ハードルが高い、核の問題というタブーに切り込むことで防衛省、海上自衛隊の協力を得られるかという課題があってのスタート。実現は難しいかと思いながら、時間をかけて進めていきました」と、企画を立ち上げてからの困難な道のりを振り返った。
その上で「スケールが確保でき、今だから、今なら協力していただけると声をかけていただき始動した。自分はそこまでで、あとは俳優の仕事をさせていただいた」と続けた。俳優として、原子力潜水艦シーバットに核ミサイルを積み、反乱逃亡する艦長・海江田を演じたことについては「シンプルに言ってしまうと、主人公なんでけど、テロリスト、反旗を翻し謀反を起こしてしまう人物。原作だと、すごく顔がりりしくて男っぽい。残念ながら僕は真逆」と笑った。「映画って、主人公がいて成長する物語。この映画は新しくて、主人公が巻き起こす事件に、日本はどうする? という新しい映画。僕は、ただ事件を引き起こし、みんなが主人公で成長していく映画。みんなが影響しあう姿が見どころなのかなと思っています」と評した。
大沢は、報告会の最後に「本当に、今だから…と思っていて。30年前に書かれた本が、なぜ今か? と不思議に思っていて。2年前に準備を始め、当時、うまくいくか分からず、いろいろなご縁があって、うまくいって撮影が終了して、ようやく公開になる」と、改めて制作の経緯について触れた。「その前に、撮影当時、まだ起きると思わなかったロシアのウクライナ問題であったり、潜水艦の悲劇的な事故(タイタニック号の観光を目的に海に潜った潜水艦タイタンの事故)とか、我々の作品のテーマと関連する、たくさんのことが起きて、いろいろな複雑な思いの中、ようやく完成した」と続けた。
さらに「全然、このタイミングを狙っていたわけでも何でもなく、なぜか、このタイミングになった。作った時も、作れと言われているのかと思った」と口にした。さらに防衛省、海上自衛隊から「今だから、ぜひ協力したい」と言われたことに再び触れ「30年前の問題作、話題作が、30年を超えた現代でも、映画を見たら議論を巻き起こす問題作になるのではないかと思う。ぜひ議論していただき、僕も耳にしながら、自分も、どういう風に生きていこうか、この作品を通して…人生にとっても参考にさせてもらいたい。今だからこそ…というのを思いながら見ていただきたい」と力を込めた。
この日は、海自のディーゼル潜水艦たつなみ艦長・深町洋役の玉木宏(43)、たつなみのソナーマン南波栄一役のユースケ・サンタマリア(52)、シーバット副長・山中栄治役の中村蒼(32)、海自潜水隊員・入江蒼士役の中村倫也(36)、たつなみ副長・速水貴子役の水川あさみ(40)、防衛大臣・曽根崎仁美役の夏川結衣(55)、官房長官・海原渉役の江口洋介(55)と、原作の、かわぐちかいじ氏が登壇した。



