生まれつき全盲のシンガー・ソングライター佐藤ひらり(22)が23日、東京・武蔵野音大江古田キャンパスで行われた同校の卒業式に参加した。総合音楽学科作曲コースで4年間学び、これからは音楽活動1本に専念する。

式の終了後、佐藤は日刊スポーツにコメントを寄せた。

私は4年間通わせていただいた大学を卒業することができました。入学した時はまだコロナが大きく猛威をふるっていた時で、高校の卒業式も、大学の入学式もありませんでした。そして2年生の時までは、ほとんどの座学の授業は、ズームを使ったオンライン形式でした

友達をつくったり、キャンパスライフを楽しむことができなかったかもしれませんが、この4年間は、私にとってとても充実した、たくさんの学びを得た4年間でした。

武蔵野音楽大学で学ばせていただいたことで、ずっと前から学びたいと思っていた音楽の知識や、歴史や背景、今まで知らなかった作曲の大事な基礎を学ぶことができました。

この学校で学んだ知識で作ることができた曲もありましたし、iPadなどを使って打ち込みをしながら曲を作るということは、大学で得た大きな進歩でした。

古き良き伝統を守る武蔵野音楽大学の中でも、これからの新しい作曲の形にもついていける、マルチコンポーザーを育てるというポリシーを掲げた、作曲コースで4年間を過ごさせていただいたことは、本当に幸せなことでした。

この4年間で得たことを糧に、これからもたくさんの人に笑顔になってもらえるような、口ずさんでもらえるような曲を作り、歌って届けられるシンガー・ソングライター、日本のStevie Wonderさんと言われるミュージシャンになれるように、努力していきたいと思います。

最後に、今まで支えてくださった方々の気持ちを胸に、社会の一員としてますます頑張る気持ちでいます。どうぞよろしくお願いいたします。

佐藤は21年8月の「東京2020パラリンピック」開会式で「君が代」を独唱し、世界の隅々にまで美声を届けた。あれから2年半。夢であるスティービー・ワンダーとの共演、そして「日本のスティービー」と呼ばれるような存在になれるよう、音楽活動にまい進する。

◆佐藤ひらり 2001年(平13)5月28日、新潟県三条市生まれ。11年に自費制作CD「みらい」を発表し、売り上げ100万円を東日本大震災の遺児に寄付した。14年にミニアルバム「なないろの夢」でデビュー。21年に三条市で初の「市民栄誉賞」。22年に新潟県の「観光特使」に就任。148センチ、血液型A。