お笑いコンビ、フットボールアワー(岩尾望=50、後藤輝基=51)にいろいろと話を聞ける機会があった。単独ライブ「フットボールアワー26」の取材会だ。

テレビや舞台での出番、イベント司会など露出は多く、囲み取材などで姿を見ることも少なくないが、それぞれピンでの出演だったり、その他大勢のタレントと一緒だったりと、2人だけの会見は意外と少ない。

昨年、15年ぶりに開催した単独ライブは大好評。2年連続での開催となった今年のライブのチケットはすでに売り切れ。正直、2人にとっては改めて会見を開いてアピールする必要もなかっただろうが、会見に出席してくれた2人と会見を設定してくれた吉本興業にまず感謝したい。

そこで感じたのはフットボールアワーの芯の強さだった。言わずと知れたM-1グランプリ3代目王者。今はコンビのそれぞれがM-1を始め、若手の賞レースで司会や審査員を務める立場になった。

今の若手の芸を見て、ネタ作りに影響することがあるか聞いてみると、後藤は「あんまりないかな。『あそこはこうしてたから、こっちはこうしよう』みたいなのは昔からないかもしれない」ときっぱり。

続けて「芸人の数が増えれば増えるほどネタの数が増える。僕らが作っている段階で、『これ、誰かやってなかったか?』とか『何かかぶってる感じがあるな』と作家の方に調べてもらったりすることはある。絶対にかぶりたくないっていうのはあるから。ちょっとでもかすってたらやらない」とコンビとしてのこだわりを明かした。

ネタはコンビで話し合って作ってきた。熱が入るあまり関係がギスギスしたことを隠すつもりもない。お互いに50歳を超えても「今さら(関係性が)変わったわけでもない」とあっけらかんと話す。ただ、それはあくまでおもしろいものを客に届けるため。後藤は「僕らの世代って、普段はしゃべらずに板の上で『さぁ』としゃべり出すのが美徳とされていた時代の芸人やと思うので、それは変わらず。楽屋でしゃべらない分を出番の中でしゃべっているというのはあるかもしれません」という。

コンビ結成から27年。ともに50歳を超えた。目指す漫才師像を聞いたときも、フットボールアワーのこだわりがにじんだ。

「大阪で生まれて育って、昼の時間帯から漫才見て、『おもろい、おもろない』と。諸先輩方の漫才を見て『わぁ、ええな』と。で、ダウンタウンさんで人生変わってみたいなところですけど、なかなかこの人みたいにってできないし、なれなくても良いと思う」

後藤はこう話した上で、この会見の直前にNGKで1本出番をこなし、フットボールアワーの直後にネタを披露したのがオール阪神・巨人だったことを明かした。

「とんでもなく芸歴も離れた先輩の前で漫才やらしてもらいましたけど、すごいですよね。阪神巨人師匠のしゃべるスピードや声の張り。誰みたいにとはあんまり思わないけど、そういうのを見ると、ちゃんとやってたらあの年齢になってもできるというところを先輩は見せてくれてる」と漫才師の姿を背中で見せてくれる先輩に感謝しながら、「『フットボールアワー』って劇場で名前が出て、センターマイクに行くまでにお客さんがちょっと笑ってもーてるようになればいいっすね」と自身が描く理想像を語った。

岩尾も4月に2回目の上方漫才大賞を受賞したザ・ぼんちを挙げ、「あのキャリア、あの年齢になって、『俺らはこれでええねん。劇場だけ出て好きな漫才だけやっといたらええねん』ってなりそうなところをアグレッシブに動く。なりたいわけじゃないけど、アグレッシブな姿勢は見習わないとと思う」。共に先輩の見習うべき姿は貪欲(どんよく)に吸収したいとしながらも、誰かのようになるつもりはないと明言。「フットボールアワー」としてあるべき姿にこだわった。

単独ライブでは、そうしたフットボールアワーのこだわりがにじみでたものになるだろう。後藤は「いまだに『単独ライブや』っていうて、当日になって何も決まっていないのに舞台に出なければいけない夢を見る」と独特の緊張感を明かしながらも、「昔から見に来てくれてた人も、『5年前からファンなんです』って、何で好きになったんかよ-分からない子にも良さが伝わる内容にしたい」と意気込み。漫才、コントともに、目下「絶賛ネタ制作中」とのことで、「聞くところによると、コンビの2人ともが漫才の審査員をしてるってあまりない。その2人が織りなす漫才をみていただきたい」と自らハードルを上げ、「ドンドン上げましょう。偉そうに言うてるやつがどんなことをするのか」と笑った。

公演は7月5日にルミネtheよしもと、同17日になんばグランド花月で。