東京・新橋演舞場で24日まで上演中の熱海五郎一座の「仁義なきストライク~弾かれた栄光と約束のテンフレーム~」を見てきた。フィナーレもフィナーレ、最後の最後に花道のせり上がりから、その人がドレス姿で現れた時に、その美しさに思わず、「おぉっ」と声が出てしまった。

今年は長年レギュラーを務めてきたラサール石井(70)が、参議院議員になったことから降板。代わりにビビる大木(51)が一座に加わった。なんと、これが初舞台だ。

座長の三宅裕司(75)に渡辺正行(70)、小倉久寛(71)、春風亭昇太(66)、東貴博(56)、深沢邦之(59)のラインアップにラサール議員を加えた中で、深沢以外は全員インタビュー経験あり。万々が一にも、ポストラサールとして声がかかるのではと思っていたが、まさか初舞台のビビるとは……。などと考えながら出向いた。

前説は東MAXこと東貴博。五十路(いそじ)の坂の半ばを過ぎても“若手のベテラン”。今回はNetflixで話題の細木数子先生に扮して笑わせてくれた。

ダブルヒロインの一人、野呂佳代(42)は、今一番旬な女優。昨年は日テレ「ホットスポット」、「なんで私が神説教」、TBS「初恋DOGs」、「フェイクマミー」、今年に入ってもTBS「リブート」、フジテレビ系「銀河の一票」と連ドラに引っ張りだこだ。

かつては客席で、憧れの目で見ていた熱海五郎一座の舞台にゲストとして呼ばれた。「この舞台に立つために、ここまでAKB48、SDN48での活動もあったんだと思います」と自分の来し方を振り返ってボケた。

熱海五郎一座の前身は「伊東四朗一座」。伊東四朗(88)が率いていたが、伊藤の先の熱海、四朗の先の五郎と言うことで熱海五郎一座になった。その伊東は8月31日、9月9日に東京・浅草公会堂で、三宅、東とともに「伊東四朗一座リターンズ!? in浅草公会堂~初期の2作品の上映会と伊東・三宅・東による爆笑トークの夕べ~」を開催する。

その薫陶を受けた東は、「東京浅草新喜劇」の旗揚げ公演「家族以上、父親未満」を、9月13~20日に浅草の雷5656会館ときわホールで行う。熱海五郎一座がつないできた東京の軽演劇の笑いの灯は、確実につながっている。

冒頭の花道の佳人は、熱海五郎一座で12年ぶりにヒロインを務めた沢口靖子(61)。芝居の中では派手なドレス姿はなく、ボケまくりだったが、最後の最後で決めてくれた。

9年前にテレビ朝日の「土曜ワイド劇場」が日曜朝10時に移った、「日曜ワイド劇場 西村京太郎サスペンス 鉄道捜査官17」に主演した時にインタビューした。東京近郊のスタジオに時間より早く着いて、花屋で時間をつぶしている時にきれいな花があったので撮影用に思わず買い求めた。料金を払ってから、花の名前を聞くと「芍薬(しゃくやく)です」と返ってきた。

「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」は、美人の立ち振る舞いを花の美しさにたとえている。 いくつになっても、そしてボケまくっても沢口靖子の美しさは変わらないと再び痛感させられた。そんな、今年の熱海五郎一座だった。【小谷野俊哉】