落語家桂春蝶(51)が21日、大阪市の扇町ミュージアムキューブで独演会「落語で伝えたい想い 第12作『それゆけ、タイガース!』」の大阪公演千秋楽に出演した。
2013年から続け、ライフワークとなっている「落語で伝えたい想い」の第12弾。「命の落語」をテーマに、その時々で伝えたいこと、未来に残していきたいことを創作落語に込めてきた。「パラオの星」をパラオで、「約束の海 エルトゥールル号物語」をトルコで上演することも決まる中、今年は父である先代の桂春蝶を取り上げた。
父が亡くなったのが51歳。自身も同じ年になり、「これまでは『こっちやで』と少し前を歩いてくれてたのが、『後ろで見てるから、まだ生きたことのない時代を生きてくれ』と変わっていく」のを感じた。父とは何かと振り返ったところ「落語以上に阪神タイガース」だった。戦後の復興と、「“常敗軍団”だった」阪神を重ねた創作落語を作り上げた。
3日間の大阪公演が完売し、テーマにふさわしい「父の日」に追加公演として組まれた千秋楽だったが、サッカーW杯の日本代表戦ともろかぶりしたのが影響したか客は少なめ。春蝶は「完売だったので調子に乗って追加公演をしたらこんなザマ」と苦笑しつつ、「今日、来てくれているお客さんはサッカーなんて興味ない人でしょ? お客さんが少ない方が僕の愛が届きやすいからね」と気合十分。前半のまくらで、父が甲子園に応援に行けば必ず負けるという“都市伝説”や、川藤幸三氏や北陽高の先輩岡田彰布氏ら阪神OBのエピソードで場をじっくりほぐした後、約90分の大ネタに挑んだ。
終演後は、「日に日にネタが動いていく感じがありました。自由な部分も多いので、最近の阪神が打順を変えたりするみたいに、この4日間やりくりがありましたね」とネタの柔軟さに満足げだったが、22日には“虎党”にとってアウェーである東京公演(渋谷区文化総合センター 大和田)が控えており、「非常に恐れてます。宗旨が違うみたいな感じ」と苦笑い。「阪神にも巨人にも興味ない人も来ると思うので、そういう人はネタの中身を見てくれるんじゃないか」と語った。
その阪神は巨人と並んでセ・リーグ首位(20日時点)に立っている。「一昨日の試合を見てもやっぱりセ・リーグがいい。本当に“交流”が苦手」とホッとしながらも、「この話のために弱くしてくれてるんかなと思った。ずっと負け続けているってイメージの説得力が出ないですからね。ぜいたくになってる。もうちょっと1勝を喜ぶ感じにしないと」と、近年は“常敗”どころか“常勝”の強さを見せつけている阪神に複雑な感想を漏らしていた。



