★自民党大会での制服の3等陸曹の国歌斉唱は関係者の誰もがまともに経緯を答えず、うやむやにされているが、これほどの組織で制服が軽んじられることも珍しい。制服や部隊章、階級に込められたそれぞれの思いや役割が台なしだ。だが、少し調べてみるだけで閣僚や自衛隊幹部が誇りに思う隊員たちの中には、露見しただけでも昨今の防衛省・自衛隊の不祥事の多さには閉口する。セクハラ、パワハラ、いじめ、不倫は陸・海・空でまんべんなくあり、マルチ商法関与、風俗店経営、免許偽造、無免許、組織的な談合、秘密データ漏洩(ろうえい)、特定秘密のずさんな取り扱い、手当の不正受給、修理を請け負った企業が架空取引で捻出した裏金を使い、隊員に私的な物品を提供。幹部から中堅、若手まで隠蔽(いんぺい)体質も相まってありとあらゆる事案が発覚しているおかげで処分も大規模になる。

★一方、22年12月には政府は即座に否定したものの、情報戦対処の名目でAIなどを使いSNSなどで世論誘導などを工作する研究を始めたと報じられた。そのほかにも最近では3月24日に3等陸尉が中国大使館に入り、建造物侵入などの疑いで警視庁に逮捕。「意見を受け入れられなかった場合に自決して、驚かせようと思った」と包丁も持っていた。だがこの件も党大会の歌唱事案と同じで防衛相・小泉進次郎、陸幕長・荒井正芳はまともな答弁もせず、中国大使館にわびもしない。

★3月10日の閣議で、年度末で退任の防衛大学校長の後任に、北部方面総監、陸上総隊司令官、第38代陸上幕僚長を歴任した吉田圭秀を起用する人事を決めた。同校長はシビリアンコントロール(文民統制)の理念から、学者や官僚出身者が就くケースが多く、自衛官出身者は同校副校長が最高位だった。生え抜きの元自衛官では初めてとなる。政界関係者が言う。「結局、隊員の規律は乱れ、不祥事ものらりくらりとごまかす。今度は防大校長までOBの天下りと化した。彼らは国民に親しまれている一方、その裏で何をしているのか分かったころには『国家情報会議設置法』で、握りつぶされるようないびつな自衛隊になってしまうのではないか」。(K)※敬称略