あの島耕作が、西日本豪雨の被災地を支援する。連載35周年のサラリーマン漫画のレジェンド「島耕作」シリーズの作者弘兼憲史氏(70)が2日、都内で会見し、山口県岩国市にある酒造会社で豪雨災害で甚大な被害を受けた「旭酒造」の大人気日本酒「獺祭(だっさい)」とコラボしたチャリティー商品「『獺祭 島耕作』 純米大吟醸」(1200円税別)を発売すると発表した。山口県岩国市は、弘兼氏の故郷であり、劇中の島耕作の故郷でもある。
1本につき、200円は寄付金にあてられる。出荷予定の65万本を完売すれば、1億3000円が被災地の復興のために寄付される。桜井博志会長(67)は「ご協力いただいた寄付金は、岡山県、広島県、愛媛県、山口県に均等に振り分けたい」と話した。
会見した弘兼氏は「郷里の酒蔵のかなりの被害に、当初は、被災した酒を買い取りたいと連絡した。しかし、会長は『被災地全体の復興に当てたい』と。タンク内で浸水しなかったが、3日間の停電で温度管理ができなかった酒を、島耕作のラベルで復興に役立てたいと思い、今回の酒ができました」と話した。島耕作も「非常においしい酒を、楽しみながら、被災地の支援に参加できる。一石二鳥の酒。ぜひ、参加してほしい」とコメントを寄せた。
旭酒造は西日本豪雨の際、蔵元の前の川が氾濫。70センチの床上浸水被害があり、電線の断線により3日間停電した。泥水を被った酒は廃棄となったが、酒蔵の2階にあったタンク内の酒は無事だった。しかし、醸造過程の温度管理を繊細に管理している旭酒造では、150本の醸造タンク(50万リットル)について、十分おいしいが、「獺祭としては世に出せない」(旭酒造)状況だった。
この醸造中だった日本酒を720ミリリットル(四合瓶)に詰め、島耕作をラベルに使用した「獺祭 島耕作」として70万本発売する。1200円(税別)のうち、200円分は、西日本豪雨の被災地に寄付される。
気になる中身は獺祭の四合瓶の最高峰「獺祭 磨き その先へ」(3万2400円)から、「磨き二割三分」(8100円)「磨き三割九分」(7560円)「純米大吟醸50」(1539円)まで、全ブランドのいずれかが入っており、福袋的な楽しみもある。65万本中の0・5%の瓶には「磨き その先へ」が入っているといい、弘兼氏は「宝くじみたいに楽しんで参加してもらいたい」と話した。
桜井一宏社長(41)によると、旭酒造の豪雨による被害額は15億円にも上る見通し。それでも7月末にようやく酒造りを再開。被災後に仕込んだ酒は秋には出荷予定だという。「獺祭 島耕作」が完売しても原価割れの状況ながら、寄付金は「被災した地域全体のために使ってほしい」としている。
実は、連載中の「会長島耕作」では、16年にミャンマーでの日本酒製造プロジェクトが描かれていた。その日本酒が「喝采」。モデルは「獺祭」で、弘兼氏が故郷の旭酒造の蔵元で、綿密な取材を行った経緯がある。
島耕作シリーズといえば、劇中の「初芝電器産業」と「五洋電機」の統合を、現実のパナソニックと三洋電機の経営統合よりも先に描いたことでも知られる。
今回の酒も、劇中の「喝采」の現実化とも言える。「喝采」もネーミングの一案としてあったが、同名の酒があったこともあり、「獺祭 島耕作」のネーミングで商品化された。
「獺祭 島耕作」は、旭酒造のウェブ店、直営店及び、獺祭を取り扱う全国の酒販店で販売される。

