いよいよ今週末、10人のJRA新人騎手がデビューを迎える。中でも注目は、JRA現役4人目となる女性ジョッキー・今村聖奈騎手(18=寺島)だ。

父は障害G1を制したこともある今村康成元騎手(現在は栗東・飯田祐厩舎調教助手)。JRA女性騎手では初となるデビュー週Vに向け、意気込みは十分だ。

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期待に胸を躍らせて、今村聖奈騎手が新たなスタートラインに立つ。「楽しみな気持ちもありますし、普段は緊張しない性格なんですけど、たぶん緊張するんだろうなと思います」。笑顔で今の心境を語った。

父の影響で、物心がついた時から馬は身近な存在だった。「父よりうまく乗りたい」。そんな目標を掲げ、小学5年生の頃には騎手を志した。毎日のように、乗馬苑で馬にまたがる日々。競馬学校入学後は、苦手だったフィジカルトレーニングも騎手になりたい一心で乗り越えた。「騎手の世界が甘くないのは分かっています。女性として注目されるだけではなく、騎乗技術でかっこよさを求めていきたいです」。断固たる決意で馬に向き合ってきた。

気付けば、レジェンドの背中を追っていた。「競馬が分からない時から、武豊騎手だけは乗っている姿勢を見れば分かりました。いつも、なんてかっこよく乗るんだろうと思っていました。なので、全然及ばないですけど、きれいに乗ることを心がけています」。自身の騎乗映像を常にチェックするなど、飽くなき向上心を持って備えてきた。

デビュー初日(5日)は阪神で騎乗する。1R3歳未勝利戦(ダート1800メートル)では、師匠の寺島師が管理するリンギングフォン(牝)とコンビを組む予定だ。「2場開催でジョッキーが集まる中、いい馬をたくさん用意していただいています。最初は下手くそと思われても仕方ないですが、少しでも馬の邪魔をしないように乗りたいです」。熱い思いを胸に、待望のゲートインを迎える。【藤本真育】

◆今村聖奈(いまむら・せいな)2003年(平15)11月28日、滋賀県生まれ。栗東・寺島厩舎所属でデビューを迎える。目標とする騎手は武豊騎手、福永騎手、幸騎手。座右の銘は人馬一体。158・5センチ、47・4キロ。

◆女性騎手のJRAデビュー週成績 16年3月5日にデビューした藤田菜七子騎手は、初騎乗の中山2Rネイチャーポイントで2着。中団から差して3/4馬身差と健闘したが、初騎乗初勝利とはならなかった。昨年3月にデビューした永島まなみ、古川奈穂両騎手は、ともに4着がデビュー週の最高着順。これまでデビュー週に勝ったJRA女性騎手はおらず、勝利すれば史上初の快挙となる。

◆JRA女性騎手の初勝利 藤田菜七子騎手(24=根本)はデビュー6週目、JRA51戦目にサニーデイズでJRA初勝利。永島まなみ騎手(19=高橋康)は2週目、JRA12戦目、古川奈穂騎手(21=矢作)も同じく2週目、JRA12戦目に初勝利を挙げた。

▽永島まなみ騎手 すごく明るくて、元気いっぱいな女の子ですね。女性騎手が増えることはすごくうれしいですし、これから先、どんどん後輩が入ってくるので、私自身も負けないように頑張らないといけないです。女性にしかわからないこともあるので、切磋琢磨していければと思っています。

▽古川奈穂騎手 今村さんとは機会がなくてまだ話せていませんが、ここ数年でデビューする子は競馬学校でかぶっていたりしますし、女性ジョッキーが増えるのはうれしいですね。(新人騎手がデビューしても)気持ち的にはそれほど変わらないんですけど、負けないように頑張らないといけない、と思います。