後半、ゴール前に飛び込むもゴールを奪えず悔しがる北川(撮影・河野匠)
後半、ゴール前に飛び込むもゴールを奪えず悔しがる北川(撮影・河野匠)

最前線でターゲットとなった北川航也選手のプレーには「覚悟」が見えない。日本代表として戦う緊張感があるのだろう。素晴らしいパフォーマンスができる選手なのだが、周りに合わせなきゃという思いが強く、良さが出せていない。

サッカー選手はうまくいかないことの方が多い。だが、その中で今、自分にできることは何か? 現代サッカーは誰もが体を張ったハードワークが当たり前だが、守備で前からディフェンスする、プレスで相手選手を追い込む。まずはできることを精いっぱいプレーすることが大事だ。

同じ若手でも堂安律選手には「覚悟」が見えた。「オレが試合を決めてやる」と。前から積極的に守備をし、最終ラインまで戻ってスライディングもする。攻撃となれば仕掛けるし、普通のパスが通らなければベテランのようなノールックパスでもチャレンジする。ミスしてもミスしてもトライする、そんな姿勢が決勝点という形になった。

北川選手は基本に立ち返り、サッカーに真摯(しんし)に向き合ってほしい。オレは何のためにサッカーをしているのか? 思いきりプレーする喜びや、点を取ることでしょ。今背負っているものを忘れて、「覚悟」を持って思い切ってプレーしてほしい。そうすれば結果的に、クサビの落とし、パス、ドリブル、状況判断と、プレーの一つ一つが変わってくる。(日刊スポーツ評論家)

後半、先制となるPKを決める堂安(撮影・河野匠)
後半、先制となるPKを決める堂安(撮影・河野匠)