日本は冨安と吉田のセンターバック2人の守備がほぼ完璧だった。イランはロングボールを含めてどんどん蹴ってきたが、惑わされることなく、1対1でつぶすところはつぶし、逆に引くところは引く。スペースに出た球を素早くカットしたり、パスコースを限定させるポジショニングの良さもあった。特に冨安はFWアズムンとの競り合いに勝ち、何も仕事をさせなかった。相手を焦らせ、イラン本来の技術力を出させなかった。

この日で大会6試合目だったが、1試合ごとに日本の内容がよくなっている。無駄なプレーが少なく、心身ともに消耗度が少ない試合運びが目立つ。後半でも前半のようなフレッシュなプレーができるのが大きい。

例えば後半に出た大迫の先制点の場面。直前に南野が相手に倒されたが、主審が笛を吹かないのでプレーをやめなかった。反則を受けたというアピールさえしなかった。「いける」と思った場面は貪欲にいく。集中力というべきか、ぶれない気持ちが得点につながっている。原口の試合終了間際のパワフルな得点場面もそうだ。前回も指摘したが、こういった、可能性がある限りは挑戦するという姿勢は、森保監督の手腕によるところが大きい。

決勝はこれまで積み重ねてきたものを継続して出すだけだ。5度目の優勝に王手をかけたが、現時点で日本は何も手にしていないことも事実だ。(日刊スポーツ評論家)