熊本が生んだサッカー界のレジェンドがピッチに帰って来る。J3熊本から11月18日、昨季限りでプロ16年の現役を退いた元日本代表で06年ワールドカップ(W杯)ドイツ大会に出場したFW巻誠一郎氏(39)の引退試合が発表された。「巻フレンズVS元日本代表ドリームチーム」と題して、来年1月13日午後1時、えがお健康スタジアムで行われる。出場選手は未定。

03年に入団した市原(現J2千葉)時代から、最後まで諦めない泥臭いプレーで日本を引っ張ってきた熱き魂を持つ男。その最後の勇姿に触れられるチャンスだ。

巻は、昨季まで5年間所属した生まれ故郷のクラブを通じ「この引退試合を僕のサッカー人生の通過点として、またこれからの僕の人生、これまで支えてくださった方々の思いを胸に、2020年1月13日最後、皆さんの前でスパイクを脱ぐことができたら幸せです」とコメントした。

武器はヘッド。「利き足は頭」と言うほど得意とするヘディングで試合を盛り上げてもらいたい。

「たくさんの子どもたちに夢に向かってボールを蹴ってほしい。サッカーをしていない子どもたちにも夢を追うことの先に、輝くステージが必ず待っていることを伝えたいと思っています」

将来を担う多くの子どもを招待する予定でもある。

さらには「熊本震災の時から、サッカーはサッカーだけで終わるものではないと、その時、サッカーの持つ本当の価値に気づかされたように思います」と言い、16年の熊本地震に遭遇し、直後から率先して支援物資を届けるなど地元を勇気づけた被災地への思いもある。

現在、熊本を拠点に、子どものサッカー教室開催や障がい者の就労支援に携わるなど精力的に活動している。現役時代と変わらぬバイタリティーで走り続けている姿には感心するばかりだ。【菊川光一】

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球などのカメラマンも兼務する「二刀流記者」。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。