W杯連覇へのキーワードは「変幻なでしこ」だ。佐々木則夫監督(57)はカメルーン戦で、初戦のスイス戦から先発5人を入れ替える大胆な采配を見せた。選手交代やシステム変更などで5パターン、スイス戦を含め8つの組み合わせを試した。初の人工芝ピッチは疲労が蓄積しやすく、決勝トーナメント(T)は固定メンバーで戦うのは難しい。2連覇に向け先を見据えながら、2大会連続3度目の決勝T進出を決めた。
佐々木監督は納得の表情を浮かべた。「スピルバーグ・ノリですから」。映画界の巨匠スピルバーグ氏のように演出したと言いたかったのか、得意のフレーズを使い、胸を張った。
カメルーンの両サイドバックの裏のスペースが空くと分析し、サイド攻撃を重視する布陣を組んだ。スピードのある川澄と鮫島を先発起用。思惑通りに川澄の折り返しから鮫島が押し込んで先制した。相手のセンターバックの対応に難があると見抜き、クロスからの得点を狙って起用した菅沢がクロスから得意のヘッドで加点。初戦でベンチスタートの3人が2得点に絡んだ。打つ手がはまった。
基本布陣4-4-2は一緒だが、初戦から先発5人を入れ替えた。後半開始からは鮫島を左サイドバック、宇津木を守備的MF、宮間を左MFに変更。途中、川澄を大野に、阪口を澤に代えた。終盤には菅沢に代え上尾野辺を起用し、宮間をトップ下に4-2-3-1を試した。布陣はこの日だけで5パターンで、スイス戦も含めれば8パターン。試行錯誤しながら2試合で勝ち点6を獲得した。
佐々木監督は「その相手に対するベストメンバーを組む」と言う。それは11人を固定することではない。11年ドイツ大会初優勝以降、なでしこのサッカーは模倣、研究された。メンバーや戦い方は大きく変わっていない。だが相手の弱点を突く作戦や、選手の長所短所を知り尽くす同監督だからできる適材適所の起用は深化したと言っていい。
MF阪口は「大幅にメンバーが変わったりするのは悪いことではない」と話すなど、選手に「変幻なでしこ」への戸惑いはない。16日(日本時間17日)に対戦するエクアドルとは実力差があるため、目標の1位通過はほぼ確実。主力を休ませられ、大幅な選手の入れ替え可能だ。右膝痛の岩渕にも復帰のめどが立ち、決勝Tではオプションがさらに増える。安藤の離脱は痛いが、22人の総合力を武器に「変幻なでしこ」で連覇に挑む。【鎌田直秀】

