男子日本代表が北朝鮮を1-0で破り、今大会初勝利を挙げた。FIFAランキング55位の日本は、同114位の北朝鮮に前半から何度も決定機を許した。反対に北朝鮮の守備網を崩せず、ほとんど決定機すら作れなかったが、後半ロスタイムにMF井手口のボレーシュートが決まり、際どく勝利をつかんだ。日本は12日に中国、16日には韓国と対戦する。

 試合後のハリルホジッチ監督はじょうぜつに試合を振り返った。

 ハリルホジッチ監督 こんばんは。少し運も味方した勝利でした。相手が守備陣形を整えていた。ハーフタイムに「真ん中でビルドアップすると相手にチャンスを与えることになる。ロングボールを使うと(拾われた時に)カウンターチャンスを相手に与える」と言った。もっと裏を狙うべきだが、未熟な形で戦った部分がある。

 -試合の中で前向きなものは?

 ハリルホジッチ監督 いいプレーをした選手もいる。GKの中村は解決策を見つけてくれた。伊東もボールもったら相手DFに仕掛けて抜いていた。プラスをもたらすことができる選手。日本には1対1で抜ける選手が多くない。今回は、代表で初めてプレーする選手が少なくない。(海外組が招集されず)多くの選手が不在の中で、つくっている途中のチーム。北朝鮮はベストメンバーだった。ですので、ポジティブなことは少なくない。我々は意欲的に、焦らないで我慢強くプレーすることができた。相手はかなり低い位置でブロックを形成していたので、やりづらかった。背後へのボール要求もしたが、ボールをもらう動きが足りなかった。クラブでのプレーをやってしまった試合だった。もっと前を向いてボールを狙わないといけないと言った。だが、最前線のFWのプレーが効果的ではなく、相手のDFの動きを際立たせただけだった。

 -ハーフタイムの指示がうまく選手に伝わったのか?

 ハリルホジッチ監督 選手の習慣を変えるのは難しい。日本は横パスが多い。背後を狙う選手が少ない。プレースピードも足りない。そして、北朝鮮の低いブロックのわなにはまった。北朝鮮はボールを奪った後、パスの質も高かった。日本代表で見られないテクニックをもっている選手もいた。プレースピードを速くしろと要求することは簡単。今野や、井手口に前を狙えと言ったが、パスを受ける側が形ができていない。金崎は、サイドに流れる動き、クラブでのプレーをしていた。もっと中央でプレーするように要求してきたが、1回話したからって、選手の習慣を変えるのは難しい。結果が良かったという部分をみながら、続けていかないと。もっといいプレーができると信じている。彼らが一緒に試合でプレーするのは初めて。最後の30メートルでいいパスを出せる清武タイプがいなかった。プレースピードが遅く、横パスが多い。まだ前線の選手にはポジションを下がってきて、足元でボールをもらう選手が多い。背後を狙う動きは連動が必要。その連動を合わせるのは簡単ではない。

 -政治的に緊張関係のある北朝鮮との試合でしたが?

 ハリルホジッチ監督 私たちは相手選手の話を聞くために来ていない。ただ、信頼、喜び、友情を伝えたい。選手同士もあいさつし合って、私もあいさつした。私はサッカーファミリーの一員として誇りをもっている。おかしくなっている世の中で、私たちはもっとも良い部分(スポーツ)を見せる世界にいる。それは喜ばしいこと。欧州、アフリカ、日本にだって、ライバル意識というのはある。スポーツでのライバル意識あるが、政治は関係ない。本日の試合でもデュエルはあるが、それはスポーツに反することではない。両チームをたたえたい。つまり、私たちは時間をともにし、共に戦うだけだ。

 -評価すべき選手は?

 ハリルホジッチ監督 伊東も初招集だったが、相手に仕掛ける能力があり、抜き去る能力を見せた。その違いを生む姿を評価したい。室屋、谷口、阿部、高萩は、もっと力を出せると思っている。井手口は貴重なゴールを挙げたが、少し疲労があるかな。今野はクラブではセンターバックだが、しっかりとしたプレー見せてくれた。あまり厳しい目で見てしまっては。室屋は5、6回のファウルで未熟さも出たが、アピールしたい思いが強かったのだろう。どの選手も、2試合目は落ち着いたプレーを見せてくれると思う。私たちはW杯へのテストの場として戦っている。多くの選手を見たい。小林は川崎Fでは多くの点を取った。川崎Fでは連動しているが、ここに来れば違う仲間と戦う。相手チームがこういう守備をするとは予想していた。ダイレクトプレー、ダイアゴナルプレーを要求した。JリーグのFWはDFの背後で受けるプレーに慣れてない。だが、必要なプレー。内容には満足しないが、初戦勝利は喜びたい。選手はライオンのように戦ってくれた。非難することはできない。今後、選手を入れ替えながらやっていく。私たちは3勝すると思ってやっている。