いよいよ、あの男が戻って来る。2連勝中の北海道コンサドーレ札幌は今日16日、敵地の神戸ユニバー記念競技場で11位ヴィッセル神戸と対戦する。度重なる故障で長期離脱を強いられた元日本代表MF稲本潤一(37)が15日、札幌・宮の沢で最終調整を終えた後、チームとともに遠征に出発。ベンチ入りが確実となった。出場となればJ1では川崎F時代以来、実に1015日ぶり。小野との元日本代表コンビによる夢の競演で、3連勝をたぐり寄せる。

 先の見えない苦渋の日々が、ついに終わる。神戸戦前日に行われた全体練習。ミニゲームで、稲本は復帰後初めて主力組でプレーし、守備のセットプレーでも主力組に加わり、「ようやく、チームに絡めるようになった」と長かったリハビリ生活を振り返った。

 14日の紅白戦やセットプレーの確認では控え組だっただけに、突然、巡ってきた復帰のチャンスだった。「試合に出て、勝利に貢献できたらと思う」。個人の喜びは、そっと胸にしまい、J1では16年ぶりの3連勝に照準を合わせた。

 昨年6月に右ひざ前十字靱帯(じんたい)を手術。キャンプ中の今年2月に1度実戦復帰したが、直後に今度は右ひざ外半月板を痛め、再び3月に手術を受けた。神戸戦は途中出場が濃厚だが、出場となれば、公式戦は昨年6月4日J2千葉戦(札幌ドーム)以来、J1では川崎F時代の14年12月6日神戸戦(ノエスタ)以来、実に1015日ぶりとなる。

 「試合に出るのは1年3~4カ月ぶりなので、雰囲気やモチベーションなど、気持ちの部分を感じながらプレーしたい」。さらに昨年2月28日開幕戦の東京V戦(味スタ)以降、遠ざかっていた、元日本代表MF小野との競演も楽しみだ。

 ドイツ1部のフランクフルトに在籍した経験があるだけに、神戸の元ドイツ代表FWポドルスキのすごさは身をもって知っている。「世界的プレーヤーだけど、彼1人だけのチームではない。アウェーで結果を出して、帰って来たい」。稲本は敵地初勝利を見据えた。【中島宙恵】