ベガルタ仙台に頼れる男が帰ってきた。7月の天皇杯で負傷し、戦線離脱していたMF吉尾海夏(21)がコンディションを徐々に上げ、4カ月ぶり公式戦となる11月2日のアウェー神戸戦に照準を合わせた。

チームは23日、仙台市内でハーフコートでのミニゲームなど全体練習を再開。前節19日のアウェー名古屋戦で勝利した勢いで残り5試合を戦っていく。

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吉尾の左足がラストスパートへの起爆剤となる。今季、横浜から期限付き移籍で加入し、第3節から12戦連続でピッチに立った。そして5月の清水戦では、弧を描くような強烈なミドルシュートでプロ初ゴール。次節の名古屋戦でも2戦連続弾を決めて攻撃陣に欠かせない存在になった。しかし、FC大阪(JFL)と戦った7月の天皇杯で左ハムストリングスを肉離れ。その1カ月後に一時復帰に近づいたが、けがの再発で戦線に戻るまでに時間を要した。

17年のプロデビュー後、一番長い離脱となり「プレーしたい気持ちがすごく強くて、もどかしさ、焦りもあった」。それでも、さらなる成長へ自分と向き合った。「体のちょっとしたバランスだったり、細かいところを見直せた。徐々に上がってきた」。また負傷期間に海外サッカーを見る機会が増え、バルセロナやマンチェスターCの試合や欧州CLなどトップレベルのプレーを見て、気持ちを高めた。

20日には名古屋戦サブ組とメンバー外の選手が作新学院大と練習試合を行った。右サイドハーフとして途中出場。15分のみの出番となったが、FC大阪戦以来の対外試合に「久々で楽しかった。体力面は全然だったし、ちょっと気にしながらやっている感じはあった。それでも練習試合をやってから、だいぶ気持ちが楽になった。(神戸戦へ)間に合わせます」と完全復活への1歩を踏み出した。

横浜ユース出身で横浜育ちの吉尾だが、3歳までは両親の故郷・兵庫で過ごした。現在も祖父母など親族が住んでいる。「神戸とか関係なく久々の公式戦なので、とにかく出場し、チームを勝たせるゴールを決めたい」。若きレフティーが復活の一撃を狙う。【山田愛斗】