ガンバ大阪の小野忠史社長(59)と、セレッソ大阪の森島寛晃社長(48)の夢の対談が実現した。新型コロナウイルスの影響を受けた昨季、G大阪はJ1で2位、C大阪は4位と上位争いを繰り広げた。今季はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で優勝を争う可能性もある。コロナ禍でも結果を出せるクラブ運営とは-。ともにトップアスリートだった両社長に聞いた。【取材、構成=益子浩一】

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大阪の街並みを一望する高層ビルの一室で、対談は行われた。南に大阪湾、東には奈良との県境の生駒山。2021年の正月明け。大阪に粉雪が舞った日。ともに現役時代はトップレベルで活躍した両社長は、熱い野望を明かしてくれた。

小野社長 ガンバとセレッソ、今年は両チームがACLの舞台に立てますから。「コロナに負けるな!」-。そんな思いがありますね。一緒になって、関西を盛り上げていきたい。日の丸を背負って戦う。その後ろには大阪を、そして関西を背負っているんだという気持ちが強いです。

森島社長 そうですね。アジアの先には、クラブW杯という世界につながる舞台もありますから。大阪からアジアへ、そして世界へと羽ばたくことができる。それこそが勇気を与えることになると思うんです。サポーターの皆様の熱い思いを背負って戦う。大阪からサッカー界全体を盛り上げるような戦いをしたいですよね。

今から10年前の2011年5月。ACLで8強進出をかけ、両チームの直接対決が実現した。08年にアジア王者も経験したG大阪に対し、C大阪は初出場だった。延長突入かと思われた終了間際、劇的決勝弾でC大阪が勝ち進んだ。かつて、ACLでも熱い戦いが繰り広げられた大阪ダービー。今年のACLはG大阪が本戦から、C大阪はプレーオフからの出場権を得ている。そして、コロナ禍でリーグ戦が約4カ月も中断した昨季は、再開初戦が無観客のダービー(7月4日、パナスタ)だった。

小野社長 野球で育った私が、大阪ダービーを見た時に身震いがしたんです。野球にはない独特な雰囲気。これは選手冥利(みょうり)に尽きる、やろうなあ、と。でも、昨年は無観客でのダービーになった。あの7・4は、ようやく試合が再開できるという喜びと同時に、シーンとした中でやらざるを得なかった。正直、無観客だけは避けたかったので、残念な思いもあったんです。

森島社長 確かに、ホームとアウェーがあってこそのダービーですからね。僕が現役の頃も、サポーターの声援が力になっていましたから。選手もサポーターも、お互いに意識をしながらやってきた。やっぱり特別なんですよ。選手だけじゃなく、我々スタッフも、ダービーは負けた時のヘコみ方は半端ないですから。今年、ACLでまたガンバさんと戦えるのであれば、最高の楽しみですね。

◆感染予防対策 対談は朝日新聞大阪本社・アサコムホールを利用。アクリル板で仕切りをつけ、新型コロナウイルス感染予防を徹底して実施しました。