J2初年度のブラウブリッツ秋田が開幕2戦目で待望の初勝利をつかんだ。前半11分、FKのサインプレーからMF沖野将基(24)が決めた先制ゴールを守り抜き、アウェーで栃木SCを1-0で退けた。昨季はJ3最少の34試合18失点。鉄壁を武器に22試合で無失点を記録した。「お家芸」とも言える完封劇で記念すべき1勝を勝ち取った。

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秋田の歴史に新たな1ページが刻まれた。1点リードを保ったままスタジアムに試合終了のホイッスルが鳴り響くと、吉田謙監督(51)は力強くガッツポーズ。次々とベンチにいるコーチ陣らと抱き合い、グータッチをかわして喜んだ。

「秋田がこれまで積み上げてきたもの、ブラウブリッツにかかわるすべての皆さま、秋田の皆さまの底力が勝利を呼んでくれたと思います。秋田は辛抱と根気の美徳、素晴らしいスピリットがあると思います」。クラブ史を塗り替えた白星をかみしめた。

前半11分、沖野将基が自分でつくったチャンスを自分で決めた。FW中村亮太がゴールラインを割りそうなボールを、粘りながら体を張ってつなぐ。そして沖野が右クロスを上げると相手のハンドを誘発し、FKを獲得した。キッカーのDF鈴木はサインプレーを選択。右サイドから直線的なクロスを放り込まず、グラウンダーでマイナスのパスを入れる。フリーの沖野がペナルティーエリア中央に勢いよく飛び込み、右足で鋭い弾道のシュートを突き刺した。

自身J2初ゴールを挙げ、J2初勝利に貢献した沖野は、とにかく枠に飛ばす意識で蹴り込んだ。「練習ではやっていなかった」プレーだったが、GKは反応できずに「自分もあそこまでいいコースにいくとは思っていなかった」と予想外のビューティフル弾。「ゴールを決められたのもうれしいが、チームが勝ったことが何よりもうれしい」と笑った。

J2初陣だった前節のザスパクサツ群馬戦ではシュートを3本に封じながら1-2で敗戦。それでも今節では、その悔しさを初勝利に変えた。開幕からアウェー4連戦が続くが、昨季の敵地戦績は11勝5分け1敗と圧倒的な結果を残した。次戦はJ1経験もあるジェフ千葉と対戦。「秋田一体」のチームスローガンのもと、初挑戦の舞台で旋風を起こしていく。【山田愛斗】