日本サッカー協会の規律委員会は19日、天皇杯で浦和サポーターが暴力・破壊行為に及んだ件で、観客や選手らの安全確保のために適切な措置を講じなかったとして、浦和に対して来年度の天皇杯の参加資格剥奪とけん責(始末書の提出)の厳罰に科すと発表した。Jクラブの天皇杯への参加資格剥奪は史上初。

8月2日に名古屋市のCSアセット港サッカー場で行われた名古屋との4回戦で、0-3で敗れた試合後に浦和の一部サポーターが暴徒化した。規律委員会は「日本サッカー史上、過去に類を見ない極めて危険かつ醜悪なもの」と断じた。その上で「適切な管理監督と指導を行っていれば防止することができた。サポーターへの指導責任の懈怠(けたい)があった」とクラブの責任の重さを挙げた。

浦和は「相手チームのサポーターの挑発があり、憤慨して違反行為に至った」と弁明したが、規律委員会は「そうであったとしても、著しく過剰かつ執拗(しつよう)なものであり、情状としてくむべき事情には当たらない」と一蹴した。また、浦和が今後の対策として違反行為者への処分について「厳罰化と処分基準の見直し」を行うことには一定の評価を出しているが、「情状の考慮事由にはならない」と厳しかった。

浦和サポーターの懲罰事案は00年以降、天皇杯を含め11件にも上る。規律委員会は「問題行動が繰り返され、改善どころか、許されざる暴挙にまで至っている」「猛省と実効性のある再発防止策の策定及び実施を促すには、これまでと同様に罰金の処分を重ねたとしても、十分な効果は得られない」と罰金ではなく、天皇杯参加資格の剥奪の重い懲罰を科す判断になったことを理由として明かした。

日本協会は、8月末にサポーター17人を国内全ての試合を対象に無期限入場禁止処分とすることなどを決めていた。