日本代表MF鎌田大地(26=アイントラハト・フランクフルト)はクールな表情の裏に、家族思いの心を持っている。その背中を、ずっと見つめてきた人がいる。5歳下の弟大夢(ひろむ)は、J2ベガルタ仙台でプレーするJリーガー。同じ家族として、同じプロ選手として、負けられないスペイン戦(日本時間2日午前4時)に挑む兄へエールを送った。

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兄は必ず夢をかなえてきた。だからW杯でも、宣言通りの活躍を見せてくれる。大夢はそう信じている。

「昔からの自分の夢であった海外で活躍すること、W杯に出ること、自分の夢をかなえている。お兄ちゃんみたいになりたいというあこがれもあります」

普段は「ダイチ」「ヒロム」と呼び合う兄弟。同じMF。小学校の休み時間に一緒にボールを蹴っていた頃から、5歳上の兄の才能を感じていた。「ずっと、昔から一番うまいなと思っていた」。

G大阪ジュニアユースから東山高に進んだ兄のように、JFAアカデミー福島から昌平高へ進学。「鎌田の弟」として取材をされることが増え、一時は嫌になったこともある。

しかし、自らもプロになり、兄のすごさを肌身に感じた。「鎌田の弟」がいやだと思うことは、自然となくなった。「サッカー選手としても、人としても1人の尊敬している人です」。 鎌田の原動力の1つは、大切にしている家族だ。クールな表情に誤解されがちだが、隠された熱く、温かい心を弟は知っている。

「すごく家族を大事にしている。親に家をプレゼントしてあげたり、帰ってきた時に一緒に旅行に行ったり。すごく親孝行しています」。

鎌田が両親に贈った2階建ての家には思わず驚嘆。「いやすごかったです…。大きいです」。自身も東北のおいしいフルーツを選んでは両親に贈っている。「もっとしたいですけど…。じょじょにですね」。いつかは兄のように。兄を超えられるように。

ライバルだと思ったことはない。テレビゲームでも勝った記憶がない。いつも先を歩いていた。だから、W杯のどんな厳しい試合でも、堂々とした姿を見せてくれるはずだ。

「あの舞台に立てる選ばれた選手なので、一番はその舞台を楽しんでほしい。あとは…ちゃんと頑張って守備をやってくれればいいかなと思います(笑い)」

笑いを交えてエールを送れるのも家族だからこそ。大夢の夢も、海外で活躍しW杯の舞台に立つこと。これまでのように、兄が道筋を示してくれると信じている。【磯綾乃】

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